河合遺跡

河合遺跡について

河合遺跡（かわいいせき）は、大阪府松原市の河合1丁目から6丁目の地域に広がる、弥生時代から江戸時代にかけての集落や官衙の遺跡です。本遺跡は史跡としての指定は受けていませんが、その範囲は東西約1,100メートル、南北約700メートルに及び、面積は約574,220平方メートルに達します。この地域には、下高野街道や丹比大溝と呼ばれる2つの遺跡も存在しています。

立地と周辺環境

河合遺跡は松原市の南西部に位置し、周囲には狭山池と呼ばれるため池が流れる西除川の左岸上に広がっています。遺跡の南端は約25メートル、北端は約20メートルの標高があり、南に向かってゆるやかに傾斜しています。この台地は更新世の堆積物で形成されており、周囲は窪地や浅い谷によって分断されています。また、ため池があり、この地域には尻池・新池・古池といった水源が存在しています。

かつてこの区域は、河合遺跡と河合西遺跡という2つの遺跡として知られ、弥生時代の石鏃が採取される場所として有名でしたが、後に調査が進むにつれて遺跡の範囲が拡大し、現在の河合遺跡として知られるようになりました。これまでの発掘において、主に飛鳥時代から鎌倉時代の掘立柱建物跡や、地方官衙の遺跡が確認されています。

遺跡の歴史と変遷

弥生時代以前

河合遺跡には、弥生時代以前の遺物として縄文時代の有舌尖頭器が発見されており、この時期の生活跡は具体的には確認されていません。しかし、北側の南新町遺跡では石器を伴う土坑が確認されています。

古墳時代

古墳時代の具体的な遺構は発見されていませんが、後世の遺構埋土から須恵器や円筒埴輪の破片が見つかり、周辺に集落や古墳が存在した可能性が示唆されています。

飛鳥時代

河合3丁目の古池周辺で行われた発掘では、掘立柱建物の柱穴が複数確認され、飛鳥時代後期から奈良時代にかけての土器や銅製錘が出土しました。また、この地域には幅約12メートル・深さ約2メートルの大溝が確認されており、灌漑用水路であったと考えられています。

奈良時代

奈良時代の発掘調査では、官衙の長舎跡が発見され、須恵器壺などの出土物が確認されました。また、長舎の配置によってこの建物が7世紀後半から8世紀初頭にわたって存在していたことが示唆されています。

鎌倉時代

この時代の発掘では、瓦を持つ土坑が確認され、古池の築造時期が鎌倉時代中頃であることが示されました。

江戸時代

江戸時代においては、灌漑用井戸と思われる遺構が発見されているものの、この時代の具体的な遺構は確認されていません。遺跡の範囲は、江戸時代には河内国八上郡河合村として記録に存在していくつかの集落の形成があったと考えられています。

展示と解説

松原市立学校給食センターの西南隅には、奈良時代の地方官衙についての説明板が設置されており、長舎の柱穴の位置は標柱で明示されています。これにより、訪問者は河合遺跡の歴史的意義を学ぶことができます。この遺跡は、古代から中世にかけての人々の歴史的な生活や社会の様相を知るための重要な場所であり、今後の更なる調査と研究によって、さらなる知見が得られることが期待されています。

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