河辺定長

河辺定長

河辺定長（かわべ さだなが）は、江戸時代初期に生きた公家であり、神宮祭主を務めた人物です。

生涯

大中臣氏の一門である河辺徳長の子として生まれました。13歳という若さで、祖父である河辺辰長の跡を継ぎ、大宮司に就任します。これは正保3年（1647年）のことでした。

その後、承応2年（1653年）には、20歳にして祭主に就任します。当時の祭主は、大中臣氏の二門出身であることが条件とされていましたが、定長は一門出身でありながらその地位に就いたことは異例でした。翌年には、出口延佳の『陽復記』を後光明天皇が閲覧したことがきっかけとなり、定長は神祇権大副に任じられます。

しかし、明暦元年（1655年）に病に倒れ、祭主としての職務を十分に果たすことができなくなりました。嗣子がいなかったため、北小路俊臣の次男を養子に迎え、河辺兼長と名乗らせて後継者とします。しかし、この養子縁組に対して大宮司の河辺精長が強く反発し、後継者問題は長引きます。その結果、後継者を決定できないまま、定長は27歳という若さでこの世を去りました。

官歴

正保3年12月24日（1647年1月29日）：宮司に就任
承応2年9月10日（1653年10月31日）：祭主に就任
承応3年4月18日（1654年6月3日）：神祇権大副に任官

系譜

父：河辺徳長
養子：河辺兼長 - 北小路俊臣次男

参考文献

神宮司庁 編『神宮要綱』神宮皇学館館友会。
平井誠二 著「近世における祭主職の継承」、國學院大學日本文化研究所 編『大中臣祭主藤波家の研究』続群書類従完成会、2000年、183-204頁。
音羽悟「大宮司大中臣精長の時代と遷宮―近世前期の神宮における古儀復興の精神―」『明治聖徳記念学会紀要』復刊50、2013年、46-61頁。http://meijiseitoku.org/pdf/f50-4.pdf。

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