河野太通

河野太通（こうのたいつう）は、1930年に大分県で生まれた日本の臨済宗の僧侶であり、師家です。妙心寺派の元管長（2010年 - 2014年）であり、全日本仏教会の前会長（2010年 - 2012年）も務めました。室号は又玄窟（ゆうげんくつ）、道号は太通、法諱は祖玄。俗姓は河野です。姫路市網干にある、不生禅で有名な盤珪永琢国師ゆかりの臨済宗妙心寺派の龍門寺住職を務めています。

生い立ちと修行

1930年、大分県に生まれた河野太通は、1948年に中津市の松巖寺で出家しました。その後、1953年に花園大学仏教学科を卒業し、祥福寺僧堂で山田無文老師に師事して修行を積みました。この修行時代に、禅の奥深さを体得し、その後の人生における思想の根幹を築きました。

研究と教育活動

1966年には、禅文化研究所の所員に就任し、禅に関する研究活動に携わりました。1967年には花園大学の非常勤講師となり、後進の指導にもあたりました。1972年には、出家した松巖寺の住職に就任し、寺の運営と並行して禅の普及に尽力しました。1977年には、祥福寺専門僧堂の師家に就任し、多くの僧侶を育成しました。

要職歴任と社会貢献

1994年には、花園大学の学長に就任し、教育者としてもその手腕を発揮しました。2004年には、龍門寺の住職に就任し、2006年には大衆禅道場を龍門寺に設立しました。2010年には、臨済宗妙心寺派の管長、全日本仏教会の会長に就任し、日本の仏教界を牽引する立場となりました。

著述活動

河野太通は、数多くの著作を通じて、禅の教えを分かりやすく解説しています。代表的な著書には、『独坐大雄峰』（春秋社、1981年）、『床の間の禅語』（禅文化研究所、1984年）、『白隠禅師坐禅和讃を読む』（佼成出版社、1989年）などがあります。これらの著書は、禅の思想や実践を一般の人々にも理解しやすいように解説しており、禅への関心を広める上で大きな役割を果たしました。また、『まあ、お茶でも飲んでゆきなされ』（春秋社、1993年）や『豊かな心を生きる』（春秋社、1997年）など、日常の生活に禅の心を活かす方法を示唆する著書も多く、幅広い読者層に支持されています。

その他の活動

また、監修として『臨済宗現代住職学講座』（国書刊行会、1995年）を手がけ、共著として『祥福寺僧堂 - 雲水の修行と生活』（佼成出版社、1990年）、『太極の心 - 楊名時の志を継いで』（二玄社、2010年）、『覚悟の決め方 - 僧侶が伝える15の智慧』（扶桑社、2011年）などがあります。これらの著作活動を通じて、禅の教えを多角的に伝え、社会における禅の普及に貢献しています。

禅の思想

河野太通の禅は、日常生活の中で禅の精神を活かすことを重視しています。その教えは、坐禅や禅の言葉を通じて、人々の心を豊かにし、日々の生活をより良いものにする力を持っています。河野太通は、禅の教えを通じて、人々がより平和で幸せな人生を送れるよう、その生涯を捧げています。

参考文献

『禅力 - あなたを変える禅の名言』（海竜社、2007年）

外部リンク

龍門寺>河野太通

もう一度検索