河間路

河間路 (かかんろ)

河間路は、中国の河北省滄州市にかつて存在した地域で、モンゴル帝国の時代に設置されました。治所は河間府で、『東方見聞録』では「カチャンフ」として言及されています。この地域はチンギス・カンの庶子であるコルゲンに関連するウルスの一部でした。

歴史的背景

河間路は唐代の瀛州、宋代の河間府を前身として成立しました。1236年、オゴデイカンが河北のさまざまなルートを王族や有力者に分配した際、河間府はコルゲンの領地とされました。この時、コルゲンが支配する河間府の人口は45,930人とされ、遊牧民の数は4,000人です。

『元史』の記録によると、河間路にはイェス＝ブカ、カダアン＝タイシ、イェスウル、テレングトから成る「左手九千戸」の領地があり、これは同じく1236年の分配で設定されたと考えられています。しかし、これらの情報は後に記録されたため当初は詳細に記載されていない可能性があります。

1287年に発生したナヤン・カダアンの乱では、コルゲンの子孫であるエブゲンが反乱に加担しました。この結果、河間のダルガチが罷免された記録があり、河間路がコルゲンの領地だったことが確認されています。

マルコ・ポーロの記録

マルコ・ポーロはクビライの治世に大元ウルスを訪問し、その経験を『東方見聞録』に記しており、河間路についても触れています。彼の記録は当時の社会や経済状況を知る上で貴重な資料となっています。

管轄州県

河間路には、録事司、23の県（そのうち6県は路の直轄）、および6つの州が設置されていました。具体的な内訳は以下の通りです。

6県

• - 河間県
• - 粛寧県
• - 斉東県（カダアン・タイシの領地）
• - 寧津県（ジャライルタイ・イェスルの領地）
• - 臨邑県（テレングトの領地）
• - 青城県（コルゲンの生母が主宰する第2オルドの領地）

6州

• - 滄州（清池県、楽陵県、南皮県、無棣県、塩山県を管轄）
• - 景州（蓨県、故城県、阜城県、東光県、呉橋県を管轄）
• - 清州（会川県、靖海県、興済県を管轄）
• - 献州（楽寿県、交河県を管轄）
• - 莫州（莫亭県、任丘県を管轄）
• - 陵州（イェス・ブカの領地）

なお、斉東県と臨邑県は他の路・州を挟んだ飛び地として存在し、その理由はコルゲン家の領地に基づいた区画割りが行われたからです。

参考文献

• - 愛宕松男『東方見聞録 2』平凡社、1971年
• - 箭内亙『蒙古史研究』刀江書院、1930年
• - 松田孝一「オゴデイ・カンの『丙申年分撥』再考(2)」『立命館文学』第619号、2010年

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