治承三年の政変

治承三年の政変：平清盛による院政停止事件の詳細

治承三年の政変は、治承3年（1179年）11月に平清盛が軍事力を用いて京都を制圧し、後白河法皇の院政を停止させた事件です。この政変は、平氏政権の確立と、その後の源平合戦へと繋がる重要な転換点となりました。

背景

治承元年（1177年）の鹿ケ谷の陰謀により、後白河法皇と平清盛の関係は悪化していました。しかし、清盛は陰謀の首謀者である藤原成親や西光を処刑するにとどめ、後白河法皇自身の責任は問いませんでした。その後、両者は表面上は友好関係を修復しようと努めましたが、根深い対立は解消されませんでした。

治承2年（1178年）11月、高倉天皇と中宮・徳子の間に第一皇子（後の安徳天皇）が誕生します。清盛は皇子を皇太子にすることを強く求め、同年12月に実現させました。皇太子の後見人には平氏一門や親平氏派の公卿が任命され、後白河法皇の近臣は排除されました。これにより、後白河法皇は平氏に対する不満と警戒を強めることになります。

要因

治承3年（1179年）に入ると、平氏内部にも変化が生じます。3月には平重盛が病により内大臣を辞任し、6月には清盛の娘である白河殿盛子が死去しました。盛子は摂関家領の大部分を相続していましたが、その死後、後白河法皇は摂関家領を没収してしまいます。7月には重盛が死去し、10月には院近臣の藤原季能が越前守に任じられ、重盛の知行国が没収されました。さらに、関白・松殿基房の子が権中納言に任命される人事が、清盛の面目を潰すことになりました。これらの出来事が重なり、後白河法皇と平清盛の対立は深刻化していきました。

勃発

治承3年（1179年）11月14日、清盛は数千騎の兵を率いて福原から上洛し、京都を制圧しました。後白河法皇は事態を収拾しようと試みましたが、清盛は強硬な姿勢を崩しませんでした。11月17日には、太政大臣・藤原師長以下39名もの院近臣が解官され、平氏一門による政治支配が確立されました。11月20日、後白河法皇は清盛の指示により鳥羽殿に幽閉され、院政は停止されました。こうして、平清盛による事実上の軍事政権が誕生したのです。

影響

治承三年の政変は、日本の政治史において大きな転換点となりました。この政変によって、平氏は軍事力を背景に政権を掌握し、「日本最初の武家政権」としての平氏政権を確立しました。しかし、後白河法皇の幽閉は多くの反発を招き、各地で反平氏の動きが活発化します。特に、源頼朝の挙兵は、平氏政権を大きく揺るがすことになります。治承三年の政変は、その後の源平合戦へと繋がる、動乱の時代の幕開けとなったのです。

この政変の原因としては、越前国の問題や摂関家領の問題、松殿師家の権中納言昇進問題などが指摘されています。また、後白河法皇と延暦寺の対立や、頼盛との確執なども、清盛の行動を促した要因として考えられます。清盛は、これらの問題を解決し、政治的な閉塞状況を打破するために、後白河法皇の院政停止を決断したと推測されます。

治承三年の政変は、平氏政権の確立という側面だけでなく、その後の源平合戦、そして鎌倉幕府の成立へと繋がる、日本の歴史における重要な転換点となりました。

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