沿岸監視隊 (陸上自衛隊)

陸上自衛隊沿岸監視隊

陸上自衛隊の沿岸監視隊は、日本周辺の海域における情報収集を主な任務とする部隊です。沿岸部に固定された監視所を持つ部隊と、機動力を活かして広範囲を監視する移動監視隊で構成されています。これらの部隊は、レーダーや光学機器などの高度な技術を駆使して、領海を航行する船舶の動向を監視し、日本の安全保障に貢献しています。

概要

沿岸監視隊は、情報科に属する部隊であり、かつては様々な職種が混在していましたが、2010年に情報科部隊として再編されました。各部隊の隊長は2等陸佐が務めます。主な任務は情報収集であり、敵の侵攻に対する直接的な戦闘は他の部隊が担当するため、隊員が装備する武器は、自己防衛用の小火器に限られています。南鳥島においては、海上[[自衛隊]]の部隊が同様の任務を遂行しています。

部隊編成

沿岸監視隊は、固定監視を行う3個隊と、移動監視を行う3個隊、計6個隊で構成されています。

沿岸監視隊

第301沿岸監視隊：稚内分屯地に駐屯し、宗谷海峡を監視します。礼文分屯地にも派遣隊を配置し、監視の死角をなくしています。
第302沿岸監視隊：標津分屯地に駐屯し、根室海峡を監視します。羅臼分室では、国後島の監視も行っています。
与那国沿岸監視隊：与那国駐屯地に駐屯し、南西諸島の監視を担当します。定員は約110名です。

移動監視隊

北部方面移動監視隊：倶知安駐屯地に駐屯し、北部方面隊管内の沿岸を監視します。定員は50名です。
中部方面移動監視隊：今津駐屯地に駐屯し、中部方面隊管内の日本海沿岸を監視します。第13偵察隊と連携して活動します。定員は50名です。
西部方面移動監視隊：北熊本駐屯地に駐屯し、西部方面隊管内の沿岸を監視します。

各部隊の詳細

第301沿岸監視隊

第301沿岸監視隊は、稚内分屯地を拠点とし、宗谷海峡の監視を主任務としています。1955年に創設され、1956年に稚内へ移駐しました。礼文島には派遣隊が配置され、監視範囲を補完しています。隊長は稚内分屯地司令を兼務します。

編成

第301沿岸監視隊本部
隊本部班
情報班
通信器材班
派遣隊（礼文分屯地）
隊本部班
情報班

第302沿岸監視隊

第302沿岸監視隊は、標津分屯地に駐屯し、根室海峡の監視を主な任務としています。1956年に創設されました。羅臼分室では、国後島の監視も担当しています。隊長は標津分屯地司令を兼務します。

編成

第302沿岸監視隊本部
隊本部班
情報班
通信器材班
羅臼分室（羅臼町）

与那国沿岸監視隊

与那国沿岸監視隊は、与那国駐屯地に駐屯し、南西諸島の警戒監視を担当しています。2016年に新編されました。隊長は与那国駐屯地司令を兼務します。

編成

与那国沿岸監視隊本部
レーダー班
監視班
警備小隊
整備班

北部方面移動監視隊

北部方面移動監視隊は、倶知安駐屯地に駐屯し、北部方面隊管内の沿岸を監視します。2017年に創設されました。主要装備として地上レーダー装置や近距離監視装置などを保有しています。

編成

北部方面移動監視隊本部
第1小隊
第2小隊

中部方面移動監視隊

中部方面移動監視隊は、今津駐屯地に駐屯し、中部方面隊管内の沿岸監視を担います。2008年に創設され、第13偵察隊と連携して活動します。主要装備は、北部方面移動監視隊と同様です。

西部方面移動監視隊

西部方面移動監視隊は、北熊本駐屯地に駐屯し、西部方面隊管内の沿岸を監視します。2023年に創設されました。主要装備は他の移動監視隊と同様です。

沿革

1955年：第301沿岸監視隊が札幌駐屯地で新編。
1956年：第302沿岸監視隊が標津分屯地で新編、第301沿岸監視隊が稚内分屯地に移駐。
1968年：第301沿岸監視隊派遣隊が礼文分屯地で新編。
1972年：第302沿岸監視隊羅臼分室が設置。
2008年：中部方面移動監視隊が今津駐屯地で新編。
2010年：中部方面移動監視隊が中部方面情報隊に編合。
2013年：第301、第302沿岸監視隊が北部方面情報隊に編合。
2016年：与那国沿岸監視隊が西部方面情報隊隷下として新編。
2017年：北部方面移動監視隊が北部方面情報隊隷下として新編。
2023年: 西部方面移動監視隊が西部方面情報隊隷下として新編。

まとめ

沿岸監視隊は、日本の沿岸警備において重要な役割を担う部隊です。各部隊はそれぞれの担当地域で、昼夜を問わず警戒監視活動を続けています。技術の進歩とともに、これらの部隊の役割はますます重要になっていくでしょう。

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