泉崎横穴

泉崎横穴の魅力

泉崎横穴（いずみざきよこあな）は福島県西白河郡泉崎村に位置する横穴式装飾古墳で、1933年に県道の拡張工事中に発見されました。翌1934年には、その文化的価値が認められ、国の史跡に正式に指定されています。この古墳は、特に古代の絵画が豊富に描かれた珍しい事例として注目されています。

発見までの経緯

泉崎横穴は、1933年12月に発見されたもので、工事作業中に偶然その存在が明らかになりました。発見からあまり時間を置かずに、その独特な装飾が評価され、翌年には国の史跡として保護されることになりました。この古墳は、泉崎横穴群と七軒横穴群の一部として位置づけられており、古墳時代の狩猟をテーマにした美術的な表現が見られる貴重な資料です。

石室の壁画

泉崎横穴の特徴的な点は、石室内の壁画にあります。石室は玄室、玄門、羨道の3つの部分から構成されており、壁面には美しい朱色の絵が描かれています。奥壁には、2頭の鹿を描いた像や、それを追う騎馬人、さらに手を繋いで大の字の形をとる4人の人物像が見られます。左側の壁には渦巻文や騎馬人、馬、小動物の絵が、右側の壁には臼や馬、珠文が描かれています。天井にもいくつかの渦巻文が確認され、その全てが朱色で表現されています。また、古墳内からは直刀や刀子、銅環などの副葬品が出土しており、7世紀前半に建立されたことが考古学的に証明されています。

周辺地域の遺跡

泉崎横穴の近隣には、古代白河郡の中心地である関和久官衙遺跡があります。ここは7世紀末から8世紀初頭にかけて栄えた郡衙の跡であり、周辺には借宿廃寺と呼ばれる附属寺院の跡地や、6世紀後半に築造された下総塚古墳、舟田中道遺跡、谷地久保古墳などが点在しています。これらの遺跡は、古代白河郡の歴史を紐解く手がかりとなる貴重な文化財であり、泉崎横穴を含む一帯は古代の交通や文化の中心地とされてきました。

訪問情報

泉崎横穴は福島県西白河郡泉崎村泉崎字白石山にあり、公共交通機関を使うと、JR東北本線の泉崎駅から徒歩約20分、東北自動車道の矢吹インターチェンジからは車で約10分の距離に位置しています。壁画は通常非公開ですが、特別な日には公開されることもあります。また、泉崎駅前には泉崎資料館があり、そこで壁画の実物大パネルも展示されています。福島県の歴史や文化に興味がある方にとって、訪れる価値のある場所です。

この古墳は、古代の人々と彼らの信仰や文化を知る上で欠かせない遺産であり、今後も多くの人々にとって重要な学びの場であり続けるでしょう。

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