法門寺

法門寺（ほうもんじ）

法門寺は、中国の陝西省宝鶏市扶風県法門鎮に所在する、歴史深い仏教寺院です。古くから多くの人々に信仰されてきたこの寺院は、その由来から多くの歴史的出来事に関与しています。法門寺の歴史は、北周以前の時代にまで遡ることができ、この時期には「阿育王寺」と呼ばれ、寺のシンボルである塔も「阿育王塔」として知られていました。

歴史の変遷

法門寺は、北周の武帝による廃仏政策の影響を受け、長い間廃れましたが、隋朝の文帝によって再建されました。しかし、その際には北魏時代の構造を再現することができず、寺の名称も「成実道場」と変更され、さらにその後、隣接する宝昌寺に統合されることとなりました。

初唐の時代には、法門寺の阿育王塔が古代インドのアショカ王によって建立された八万四千の塔の一つであるという信仰が広まり、618年には正式に法門寺として独立しました。

その後も法門寺は歴史の波に揺れ動きながら、貞観5年（631年）には、張亮によって塔が修復されたり、660年には高宗が仏舎利を洛陽の宮中に迎え入れた法要が行われました。これは30年ごとに仏舎利を開いて供養することで大きな福徳を得るとされる伝説にも関連しています。

仏教の繁栄と衰退

唐の時代、特に武則天や中宗の時代には、法門寺に対する信仰が一層強まり、塔の名前も変更されるなど、寺院は重要な文化の中心となりました。しかし、会昌の廃仏による被害も避けられず、寺は再び苦境に立たされます。

1956年には重要文化財に認定されましたが、文化大革命の時期には紅衛兵によって多くの文化財が破壊されました。この時、当時の住職が法門寺を守るために自己犠牲を選ぶなど、寺院の存続には苦難が伴いました。

近代の復興

1979年には、陝西省による修復が進められ、過去の文化財が発掘されるなど新たな発見がありました。1981年には真身宝塔が大雨で崩壊しましたが、その後、1985年に再建決定がなされ、1988年には竣工しました。また、同年には法門寺博物館も開館し、多くの貴重な文物が展示されています。

法門寺は2014年に中国の5A級観光地に認定され、現在では多くの観光客を惹きつける存在となっています。その歴史的背景と共に、法門寺は仏教文化の豊かさを物語っています。

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