法霖

法霖（ほうりん）の生涯と功績

法霖（ほうりん）は1693年に紀伊国海部郡に誕生し、1741年に死去するまでの生涯を通じて、江戸時代中期の浄土真宗本願寺派に多大な影響を与えた僧侶です。彼の本名は慧琳で、日渓法霖や正崇寺法霖と呼ばれることがありました。法霖は、1736年から1741年まで西本願寺学林の4世能化として、教義の普及や修行法の確立に努めました。

出家と学びの道

法霖は17歳で出家し、19歳には法然の『選択本願念仏集』の講義を行うという早熟な才能の持ち主でした。1718年に本山である西本願寺の学林に入門後、第3代能化である若霖に師事し、副講としての役割を果たしました。その後、若霖の自坊である滋賀県日野町の正崇寺を受け継ぐことになります。

学僧としての発展

1731年には、華厳宗の僧である鳳潭との論争に挑み、『浄土折衝編』を著して反論を展開しました。これによって、浄土真宗の教義を守る姿勢を示し、学問的な立場を強化しました。1736年に4世能化に就任した後は、学林の基盤を整えるために「学林法制5条」を制定し、『日渓学則』を著しました。この著作は、真宗の学び方を示す重要な手引きとなりました。

法霖の不幸な死

法霖は1741年に急死しましたが、その死には自殺説も存在しています。彼は宗主・湛如が病に発症した際、祈祷を行ったことが宗教的信念に害をもたらすと懸念し、注意を促しました。その結果、湛如が自死することになると、法霖もまた帰路の駕籠の中で割腹自殺をしたという伝説が残っています。これにより、彼の死は宗教界に大きな波紋を呼び起こしました。

著作と革新

法霖の著作には、『日渓学則』や『浄土折衝編』、さらには『笑螂臂』『方便法身義』などがあります。これらの著作は当時の真宗学において重要な位置を占め、特に『日渓学則』は荻生徂徠の影響を受けた点が指摘されています。彼の教えは、単なる宗教的な枠を超えて多くの人々に受け入れられ、現在でも評価されています。

徒弟と伝承

法霖の弟子には、著名な僧の徒弟である僧樸も居ました。彼の死後、13年もの空白を経て第5代能化に義教が就任しましたが、法霖が遺した教えや教義は未だに尊重され、後世の学僧たちによって受け継がれていきました。特に、「日渓法霖和上の遺偈」は節談説教の題材として有名です。

終わりに

法霖は、その短い生涯の中で深い学問を築き、浄土真宗に多くの貢献を果たしました。彼の存在は、江戸時代だけでなく、現代においても多くの信者や学僧に影響を与えており、その教えは今なお生き続けています。

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