義教

義教の生涯と業績

義教（ぎきょう、1694年 - 1768年）は、江戸時代中期に活躍した浄土真宗本願寺派の学僧です。本名は小原で、円満寺の住職としても知られる彼は、後に「大心海主」と称されました。彼の諡は泰通院です。

幼少期と学問の始まり

義教は能登国羽咋郡に生まれ、11歳の時には越中国氷見に移住しました。氷見にて円満寺の宗句のもとで剃髪し、後に同寺の住職として成長します。義教は学問に対する情熱を持ち、氷見と京都を頻繁に往来して学び続けました。彼は氷見の西光寺の住職である善空（安貞）の遺志を受け継ぎ、学塾・尺伸堂を設立しました。これにより、北陸地方における学問の中心的な存在となり、大きな学派を形成しました。

学塾の設立と浄土真宗の発展

義教は尺伸堂の活動に加えて、円満寺にも「大心海」と呼ばれる学塾を設けました。この活動により、越中地域は「学国」と評されるほどに浄土真宗の学問が栄えました。また、他宗派からの浄土真宗批判に対しても積極的に反論し、『浄土真宗諭客編』や『輪駁行蔵録』を著して彼の立場を強化しました。

本願寺派の後継者争い

当時の本願寺派では第4代能化である法霖の逝去後、後継者が決まらない状況が続いていました。すると、智暹という有力な学僧が出現し、次の能化候補として注目を浴びていました。しかし、義教を高く評価していた僧樸は、義教を代講として推薦しました。代講の際、義教は『観無量寿経』を講じ、多くの聴衆を驚かせ、その後も代講を担当することとなりました。この結果、彼は西本願寺の第5代能化として1755年に就任しました。

能化としての活動と論争

義教は能化として講義を隔年で行い、一方では代講を立てて信徒への教化にも力を入れました。彼は講義を終えると本山に留まらず帰郷し、地方での布教活動に注力しました。しかし、能化在任中の1764年には智暹が『浄土真宗本尊義』を発表し、法霖の学説を批判する事態が生じました。この論争は「明和の法論」と称され、彼の指導の下で本山学林は智暹に反発し、刊行停止を求めました。

1767年には義教が判定者として議論を行いましたが、彼の生存中には問題は解決しませんでした。義教は1768年、75歳でその生涯を閉じました。

まとめ

義教は浄土真宗本願寺派の重要な学僧であり、彼の活動は北陸地方における宗教教育や信仰の発展に大きな影響を与えました。彼の著作も多くの宗派と向き合い、浄土真宗の立場を明確にするための重要な文献となっています。

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