泰和館

泰和館の歴史とその意義

泰和館（テファグァン、태화관）は、日本の統治下にあった朝鮮の京城府に位置する歴史的な飲食店であり、明月館（명월관）の附属施設として知られていました。この場所はかつて、王族や有力者の邸宅として使われていたという背景があります。現在のソウル特別市鍾路区仁寺洞に位置し、跡地には泰和ビルディングが建てられています。周辺地域は「3・1独立宣言広場」として整備され、歴史的な重要性を持つ場所となっています。

歴史的背景

この場所が初めて歴史に現れたのは、中宗（1506年 - 1544年）によるものとされ、一説には順和公主が住んでいたために「順和宮（순화궁）」と名付けられたと伝えられていますが、実際には中宗時代にはそのような王族は存在しませんでした。19世紀後半には領議政・金興根の居宅となり、その後は憲宗の妃・慶嬪金氏の私邸として利用されるようになります。最終的には李完用の別荘となり、政治的な会談が行われる場ともなりましたが、李が転出した後、この地には飲食店が開店されました。

当初、明月館は朝鮮王朝の料理師アン・スンファン（안순환）が経営し、伝統的な宮廷料理を一般に提供することで人気を博しました。明月館の開店後、1890年に官妓制度が廃止され、多くの妓女たちが集まる社校場としての名声を得ていました。しかし時と共に明月館は、親日派を含む人々が訪れる場所となり、彼らの放蕩が行われる場ともなりました。

泰和館と独立運動

1918年に明月館が火災で焼失後、アン・スンファンは仁寺洞に泰和館の別館を開き、ダンスや歌を提供する営業を行いました。1919年3月1日、ここは三・一運動の重要な地点となり、民族代表33人のうちの約29人が集まり、己未独立宣言書が朗読される場となりました。この動きは、独立運動における象徴として位置づけられ、当時の社会状況を反映したものでした。

独立宣言が読まれた後、代表たちは万歳を叫びました。しかし、彼らの行動はすぐに当局によって制止され、代表たちは逮捕されました。泰和館は当時、憲兵や警察の取り締まりが激しい中で、こうした活動の場となったことが示されています。建物自体はその後火災によって焼失しましたが、これに際しては日本の放火ではないかという見方もあります。

現在の泰和館跡地

1921年以降、泰和館は米国の監理教によって買い取られ、女子教育や宣教の場として使用されることになりました。1936年には誠信女学校が設立されるなど、教育活動が行われましたが、時が経つにつれて建物の老朽化が進み、1938年には新しい建物が建設されました。戦後、その場所は再び泰和基督教社会館として使用され、様々な活動が行われましたが、最終的には1980年に解体されました。

2019年には三・一運動からの百年を記念して、周辺が「3・1独立宣言広場」として整備され、改めてその歴史的な重要性が認識されています。泰和館は、日本統治下の歴史と独立運動の象徴として、今なお多くの人々に想起されています。

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