洞雲寺 (岐阜県白川町)

洞雲寺について

洞雲寺は、岐阜県加茂郡白川町和泉に位置する曹洞宗の寺院で、山号を大龍山と称します。中部四十九薬師霊場の四十六番札所としても知られています。

歴史

寺の始まりは、嘉吉3年（1443年）に足利義勝が寄進した土地に、劫庵寂永が田代谷を遡ったことに遡ります。康正元年（1455年）5月8日、和泉の地、外山に草庵を結んだのが開基とされています。由緒書によれば、劫庵寂永はこの静寂な地を好み、参禅などの修行に励んでいたところ、近隣の老婆が仏法の精神に感銘を受け、永くこの地に留まって欲しいと願い、食事などの世話を続けたと伝えられています。そのため、劫庵寂永は文明18年（1486年）9月28日に亡くなるまで、この草庵で過ごしました。

慶長9年（1604年）、土岐郡日吉村平岩の開元院の十世住職であった傳室梵的によって、草庵の場所に堂宇が建立され、洞雲寺と号しました。これにより、洞雲寺は開元院の末寺となり、傳室梵的が開山となりました。

慶長11年（1606年）には、田代山寺村が穀物不足により年貢を納めることができず、村人が全員逃散するという危機に見舞われましたが、この困難を乗り越えました。

傳室梵的はさらに、黒川村に向陽山正法寺を、坂ノ東村に石城山廣通寺を開基し、これらを洞雲寺の末寺としました。また、洞雲寺の二世住職である善中春良は、大利村に萬嶽山臨川寺、恵那郡加子母村に萬燈山法禅寺を開基しています。

黒川村の向陽山正法寺は、苗木藩領であったため、明治3年（1870年）の苗木藩による廃仏毀釈により廃寺となりました。当時の正法寺住職であった鳳仙は、この顛末を加子母村の法禅寺を通じて洞雲寺に報告しましたが、副住職の全勇からの報告では、前住職の鳳仙とは縁を切り、還俗して帰農したと伝えられました。しかし、正法寺の開山である傳室梵的の木像は、密かに洞雲寺に避難され、廃仏毀釈が終結した後、正法寺跡地に開山堂を建て、木像を安置しました。

江戸時代には、寺請制度により、洞雲寺の檀家は田代山寺、水戸野、和泉、小原、名倉、鷲原、葛牧、野原、若松、広野、宇都尾、油井の12の村に及びましたが、名倉、若松、広野、宇都尾、油井の5つの村は苗木藩領であったため、明治3年（1870年）の廃仏毀釈により、神道への改宗を強制され、檀家から離れることとなりました。

昭和33年（1958年）4月には、創建の地から白川沿いの現在の場所に移転し、全面的な改築が行われました。

関連情報

洞雲寺　白川おとなう

参考文献

『白川町誌』 白川町誌編纂委員会 1968年
『美濃国加茂郡誌』 岐阜県加茂郡役所 大正10年
『岐阜県百寺』 郷土出版社 1987年

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