津守氏

津守氏：住吉大社の宮司を世襲した名門一族

津守氏は、悠久の歴史を誇る日本の氏族です。古代より続く系譜を持ち、住吉大社（大阪府大阪市住吉区）の宮司を代々世襲してきた一族として知られています。明治時代には華族に列し、男爵位を授けられるなど、日本史において重要な役割を果たしました。

系譜と起源

津守氏の起源は、天火明命（あまのほあかりのみこと）にまで遡ると伝えられています。古文書『住吉大社神代記』には、垂仁天皇や景行天皇の時代から、意弥那宜多命の子孫が住吉大社に関わっていたことが記されています。また、摂津国住吉郡の豪族、田蓑宿禰を祖とするという説もあります。田蓑宿禰は、神功皇后の新羅征伐帰還の際に、住吉三神を祀るよう命じられたと伝えられています。

交通の要衝と氏族名の由来

淀川河口付近は、古来より交通の要衝として栄えていました。津守氏は、この地の港（津）を守護する役割を大和朝廷から与えられ、その職務に由来して氏族名「津守」を名乗ったと考えられています。

海上交通と遣唐使

代々住吉大社に奉仕した津守氏は、海部を率いて航海術を掌握していました。津守宿禰国磨は、遣唐使の一員として唐へ渡海したことが知られており、彼らの活躍は日本の国際交流史においても重要な意味を持ちます。

文化・政治への貢献

平安時代後期には、国基という人物が歌人としても活躍するなど、神官としての役割以外にも、文化面に貢献しました。彼は津守氏の中興の祖とも呼ばれています。南北朝時代には、国夏と国久が南朝方の武将として活躍し、江戸時代には公卿に列する者もいました。

華族への昇格

明治維新後、津守氏は名門社家として華族に列せられました。明治4年（1871年）に華族に列し、明治17年（1884年）には男爵位を授かりました。これは、彼らが長きにわたって住吉大社に奉仕し、日本の歴史・文化に貢献してきた証と言えるでしょう。

まとめ

津守氏は、住吉大社の宮司を世襲し、海上交通や文化、政治にも貢献してきた名門一族です。その歴史は、古代から現代まで連綿と続き、日本の歴史を語る上で欠かせない存在となっています。彼らの系譜や活躍を知ることは、日本文化の深遠さと豊かさを理解する上で大きな助けとなるでしょう。

参考文献

浅見雅男『華族誕生 名誉と体面の明治』リブロポート、1994年
華族大鑑刊行会『華族大鑑』日本図書センター、1990年
森岡浩『日本名門・名家大辞典』東京堂出版、2012年

関連項目

大海神社
津守寺
新後撰和歌集

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