津田三蔵

津田三蔵の生涯と大津事件

津田三蔵（つだ さんぞう、1855年2月15日 - 1891年9月30日）は、日本の明治時代において陸軍軍人および警察官として知られる人物です。彼は特に、「大津事件」として知られる事件でロシア皇太子ニコライを切り付けたことで有名です。

家族背景と青年時代

津田の家系は、伊勢国津藩において藩医を務める家柄でした。父は津田長庵で、家禄は130石。津田には兄と弟がいましたが、兄は家出し行方不明となり、弟は後に三吉電気工場の職工として働きました。

三蔵は7〜8歳の頃、家族と共に江戸の下谷柳原から伊賀に転居。父は刃傷沙汰を起こし、以後蟄居の身となります。明治3年に上京し、東京鎮台に入営。その後、名古屋鎮台や越前護法大一揆鎮圧の任務などを経て、徐々に軍歴を重ねていきました。

西南戦争とその後

1877年の西南戦争において金沢歩兵第7連隊の伍長として参加。戦闘中に負傷し入院を繰り返したものの、戦後には勲七等を授与されました。1882年に陸軍を退役し、三重県で警察官として働きましたが、同僚とのトラブルで免職となることもありました。その後滋賀県警に再就職し、功労褒章を2度受賞するなど充実した警察官生活を送ることになります。

大津事件の発生

1891年、ロシア皇太子ニコライが日本訪問中、津田が守山警察署から派遣されることに。5月11日、皇太子が通る沿道の警備についた津田はサーベルを用いて皇太子を切り付け、大きな事件が発生しました。この襲撃には様々な背景や動機があるとされていますが、確定的な証言は得られていません。

津田には精神的な過去もあったと言われ、事件後の供述で「一本献上したまで」のように、意図的な殺意はなかったと主張したとも言われています。しかし、ロシア皇太子の訪問ということで日本政府は厳しく対処せざるを得ず、津田は事件当日に巡査を免職されました。

事件の影響と最期

事件の翌日、身分証明や勲章が取り消され、津田は無期徒刑の判決を受けました。獄中で体調を崩し、1991年9月29日に急性肺炎を発症し、その後亡くなります。津田の遺骨は遺族に引き取られることなく、釧路集治監の墓地に埋葬され、その墓所は伊賀市の大超寺にあります。このような波乱万丈な人生は、多くの研究者たちの関心を呼んでいます。

津田の事件は、日本とロシアの間の緊張関係を示す出来事としても位置付けられ、彼の動機に関する様々な説が語られることにより、今なおその実態が解明されつつある部分もあります。特に、当時の国際情勢を勘案すると、彼が置かれた状況や心情の背景に興味深いFootnoteが残されており、歴史的な意義は計り知れません。

参考文献

• - 尾佐竹猛『大津事件』岩波文庫
• - 秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版

津田三蔵の物語は、明治期の日本社会の変革と同時に、個人の運命が国家の流れにどのように翻弄されるかを物語っています。

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