津端修一

津端修一 - 日本の建築家と都市計画の先駆者

津端修一（つばたしゅういち）は、1925年に愛知県岡崎市で生まれ、2015年に90歳で他界した日本の著名な建築家、都市計画家、評論家です。彼の業績は日本の住宅や都市計画に大きな影響を与え、特に団地設計において独自の視点を持ちながら数多くの名作を生み出しました。

来歴

出発点は1945年、海軍技術士官としての勤務を経て、1947年に新制東京大学に入学しました。1951年に建築学科を卒業し、丹下健三の指導のもとで住宅問題の研究に取り組みました。その後、アントニン・レーモンドの事務所にて経験を積み、坂倉準三の設計事務所を経て、1955年には日本住宅公団に入社しました。ここで津端は多摩平や高根台団地、阿佐ヶ谷住宅など、多くの団地の設計に関わり、団地設計の基盤を築くことに貢献しました。

彼は団地設計において、土木設計と配置設計を分離する革新的なアプローチを取り入れました。これにより団地の形態が変わり、1961年には高蔵寺ニュータウンの計画・設計を担当し、その後は広島大学での教授職を経て、名城大学や三重大学でも教鞭を取りました。フリーの評論家としての活動を続けながら、自給自足の半農的な暮らしを実践していきました。

受賞歴と晩年

津端は1969年に高蔵寺ニュータウン計画で日本都市計画学会石川賞を受賞しました。晩年には、佐賀県伊万里市の医療福祉施設の設計草案を無償で手がけ、社会貢献に努めました。彼の妻、津端英子とは独自の暮らしを共著で発表し、2016年には夫婦の生活に密着したドキュメンタリー『人生フルーツ』が放送され、2017年に映画化もされました。

人物像

津端は師匠でもあるアントニン・レーモンドの自邸を模した家に住み、高蔵寺ニュータウンのまちづくりには公団の枠を超えて深く関わりました。特に「ドングリ作戦」として知られるプロジェクトでは、自ら進んで樹々を植える活動をしていました。「自由時間評論家」として雑誌にも紹介されており、自身が手がけた高蔵寺ニュータウンではキッチンガーデンの重要性を声高に訴え、実践し続けました。彼の設計思想は風土派に根ざし、多くの建築家に影響を与えました。

手がけた団地

津端の主な設計作品には、青戸第一団地、原宿団地、阿佐ヶ谷住宅、多摩平団地、高根台団地、赤羽台団地などがあり、明るく開放的な空間を創造するための思考を常に持ち続けました。特に高根台団地の設計は、地形を生かした配置と多様な住宅形態で知られ、彼の設計手法としても特に注目されています。

著作

津端の著作には、『自由時間新時代-生活小国からの脱出法』や『市民農園 クラインガルテンの提唱』などがあり、彼の思想や理念が色濃く反映されています。彼の豊かな知識と経験を基にした著作は、今なお多くの人に読まれ、影響を与えています。

津端修一の人生と功績は、建築や都市計画における革新を促進し、彼の思想は今日の社会にも息づいています。彼の設計した空間は、多くの人々にとって生活の場であると同時に、コミュニティを象徴する場所ともなっているのです。

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