細川斉護

細川斉護（ほそかわ なりもり）

細川斉護は、江戸時代後期に活躍した大名で、肥後国（現在の熊本県）の宇土藩第8代藩主、後に熊本藩第10代藩主を務めました。初めは細川立政（ほそかわ たつまさ）と名乗り、宇土藩主として藩政を担いましたが、後に本家の熊本藩を継ぎ、名を斉護と改めました。官位は従四位下・中務少輔、越中守、左近衛権中将、侍従を歴任し、熊本藩細川家11代当主となりました。

生涯

1784年、宇土藩主・細川立之の長男として誕生した斉護は、幼名を与松と称しました。1818年、父の死により宇土藩主を継承し、立政と名乗りました。1826年には、叔父である熊本藩主・細川斉樹の養嗣子となり、熊本藩主の座を継ぐこととなります。この際、将軍・徳川家斉から一字を賜り、諱を斉護と改めました。以降、「護」の字は細川家の通字として受け継がれています。

斉護が熊本藩主となった当時、藩の財政は深刻な危機に瀕していました。先代からの浪費により、80万両という巨額の借金を抱え、財政は破綻寸前でした。さらに、アメリカやイギリスなど外国の接近に伴い、幕府から天草地方や相模湾の警備を命じられ、その費用が財政をさらに圧迫しました。このような状況を打開するため、斉護は藩政改革に着手しますが、その方針を巡り、横井小楠や長岡是容といった改革派と、松井佐渡（松井章之）を中心とする保守派が対立し、藩内は二分されることとなります。

1860年3月24日には、桜田門外の変を起こした水戸浪士が熊本藩邸に自訴する事件が発生しました。この事件は、細川家でも江戸城内で家臣が襲撃により落命するという状況の中での出来事でした。その後、浪士たちは他藩に預けられ、事態は収拾されました。

度重なる混乱と苦悩の中、斉護は1860年4月17日に57歳でこの世を去りました。長男の慶前は既に亡くなっていたため、跡は次男の護順（後の韶邦）が継ぎました。

系譜

父：細川立之（1784年 - 1818年）
母：栄昌院（土井利厚の娘）
養父：細川斉樹（1797年 - 1826年）
正室：益姫（浅野斉賢の娘）
三女：勇姫（1834年 - 1887年） - 松平慶永正室
室：久（上村氏）
長男：細川慶前（1825年 - 1848年） - 初名：護前
室：比企氏
次男：細川韶邦（1835年 - 1876年） - 初名：護順、慶順
五男：友之丞 - 早世
室：田鶴（興願院）
三男：細川護久（1839年 - 1893年） - 細川韶邦の養嗣子
室：青木甚之助の娘
四男：津軽承昭（1840年 - 1916年） - 初名：護明、津軽順承の養子
室：長（飯銅氏）
六男：長岡護美（1842年 - 1906年） - 喜連川煕氏の養子、熊本藩執政
養子
男子：細川行芬（1811年 - 1876年） - 細川立之の次男

細川斉護は、激動の時代にあって、藩の財政再建と混乱収束に尽力しましたが、その生涯は多くの困難と苦悩に満ちていました。

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