洪清泉

洪清泉：才能を育む囲碁界の異才

洪清泉（ホン・チョンセン、1981年12月30日 - ）は、関西棋院に所属する囲碁棋士（四段）。韓国済州島出身で、本名は洪マルグンセム。2019年9月より休場しており、株式会社GOMARUの代表取締役も務めています。

アマチュア時代の輝かしい実績

洪は、アマチュア時代からその才能を発揮し、韓国のアマチュア全国大会で優勝18回、準優勝9回という圧倒的な成績を収めました。2000年代初頭の韓国では、アマチュア最強の一人として知られていました。しかし、数々の挑戦にもかかわらず、韓国でプロ棋士になることは叶いませんでした。

日本での転機と「洪道場」の設立

2002年、世界アマチュア囲碁選手権で緑星囲碁学園を主宰する菊池康郎と出会ったことが、洪にとって大きな転機となりました。菊池との交流を通して「菊池先生のようになりたい」と考えるようになり、かねてからの夢であった子ども教室を開きたいという思いも重なり、日本へ渡ることを決意します。2004年に韓国を離れ日本に移住し、2005年に「洪道場」を開設しました。

プロ棋士としての歩み

2007年には朝日アマ名人戦、2008年にはアマ本因坊戦で優勝。2009年には産経プロアマトーナメント戦で準優勝を果たし、同年、関西棋院の試験碁に合格。12月1日付でプロ入りを果たしました。プロ入りを機に、より親しみやすい名前として「洪清泉」を名乗るようになります。
2012年には、第38期名人戦で最終予選に進出し、正棋士へと昇格しました。

洪道場の特徴

洪道場は東京にあり、関西棋院に所属する洪は、道場での指導と関西棋院での対局を両立させるため、多忙な日々を送りました。2016年のインタビューでは、「死ぬまでに、道場出身の棋士100人を達成したい」という目標を語っています。
洪道場からは、一力遼、芝野虎丸、藤沢里菜など、数多くのトップ棋士が輩出されています。また、張栩、山下敬吾、羽根直樹といった平成四天王の子供たちも洪道場で腕を磨きました。
洪の指導の特徴は、子供たちが囲碁を苦痛に感じないように工夫している点です。公園やボウリングに連れて行ったり、他のボードゲームで遊んだりするなど、囲碁漬けの生活にならないように配慮しています。詰碁もチーム対抗戦にするなど、常に子供たちが飽きないように、様々な工夫を凝らしています。

普及活動への専念

2019年9月1日より棋士対局を休場し、日本の囲碁人気の衰えに危機感を覚え、事実上棋士を引退する覚悟で普及活動に専念することを決意しました。毎年3月には韓国を訪れ、子供大会「マルグンセム子ども最強戦」を開催しています。

洪清泉は、その才能と情熱で、囲碁界に新たな風を吹き込み続けています。

洪道場出身棋士

一力遼
芝野虎丸
藤沢里菜

(他多数。洪道場ホームページ参照)

関連書籍

洪道場秘伝問題集（マイナビ出版, 2015）
* 碁が強い人はどのように上達してきたか？ (囲碁人ブックス, 2017)

もう一度検索