平成四天王

平成四天王

平成四天王とは、平成時代中期に目覚ましい活躍を見せた囲碁棋士、張栩（ちょう うきょ）、山下敬吾（やました けいご）、羽根直樹（はね なおき）、高尾紳路（たかお しんじ）の四名を指す総称です。彼らは、それぞれが囲碁界に大きな足跡を残し、その実力と人気で平成の囲碁界を牽引しました。

概要

1970年代後半から、木谷實門下の棋士たちが囲碁界を席巻していました。その勢いを打ち破るべく、若手四天王（片岡聡、山城宏、王立誠、小林覚）が登場しましたが、木谷一門の牙城を崩すまでには至りませんでした。

しかし、1990年代後半に入ると、張栩、山下敬吾、羽根直樹、高尾紳路の四人が、二十歳前後の若さで次々と好成績を収め、「新若手四天王」として将来を嘱望されるようになりました。2000年の山下敬吾による碁聖位獲得を皮切りに、2020年までの21年間、彼らは七大タイトル戦のいずれかに毎年登場し続けました。特に、2004年から2008年までは三大タイトルを独占、2008年には七大タイトルを独占するという偉業を達成。2006年から2010年までの間には、七大タイトル挑戦手合のすべてに四天王のいずれかが出場しました。

2009年に井山裕太が史上最年少で名人位を奪取すると、平成四天王の時代に陰りが見え始めます。2013年には、井山裕太が史上初の六冠を達成し、四天王は全員無冠となり、一時代が終焉を迎えました。

しかし、彼らの活躍はこれで終わりませんでした。2016年には張栩がNHK杯戦で優勝、高尾紳路が井山裕太から名人位を奪還するなど、その健在ぶりを示しました。2017年1月19日には、張栩が通算900勝を達成し、四人全員が通算900勝を達成しました。

2018年には張栩が10期ぶりに名人位を奪取、2019年には羽根直樹が8期ぶりに碁聖位を奪取するなど、再び存在感を発揮しました。しかし、2019年頃から、井山裕太より若い世代の活躍が目立つようになり、許家元、芝野虎丸、一力遼の三人が「令和三羽烏」として台頭。2021年には、平成四天王が七大タイトル戦の番勝負に一度も出場できず、世代交代が印象付けられました。

主な成績

若手時代
1995年：羽根直樹が新鋭トーナメント戦で優勝。
1996年：高尾紳路が新人王戦で優勝。
1998年：山下敬吾が新人王戦で優勝（以後4連覇）。
2000年：山下敬吾が碁聖位を獲得、高尾紳路が竜星位を獲得。
七大タイトル獲得数（2023年10月現在）
合計55タイトル
棋道賞
最優秀棋士賞：張栩7回、山下敬吾2回
優秀棋士賞：張栩3回、山下敬吾6回、高尾紳路2回、羽根直樹5回
最多勝利賞：張栩5回、山下敬吾3回、高尾紳路2回、羽根直樹3回
その他のタイトル
竜星戦、阿含・桐山杯、NECカップ、大和証券杯などで優勝
国際棋戦
羽根直樹が日中天元戦で優勝、春蘭杯世界囲碁選手権戦で準優勝
張栩がLG杯世界棋王戦で優勝、テレビ囲碁アジア選手権戦で優勝

四天王同士の対戦

高尾紳路と山下敬吾は、七大タイトル挑戦手合では対戦がありませんでした。

関連事項

四天王：各分野で優れた4人を指す言葉。
河野臨：平成四天王と同世代の棋士で、「第五の男」として存在感を示しました。

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