活版印刷

活版印刷とは

活版印刷は、活字を組み合わせて版を作成し、インクを塗って紙に印刷する技術です。この技法は凸版印刷の一種であり、具体的には鉛版、樹脂版、線画凸版などに関連しています。活版印刷は、活版刷りとも称され、印刷物自体も指すことがあります。

歴史

木版印刷

活版印刷の前史として、木版印刷があります。これは中国で初めて行われ、日本でも仏教経典『百万塔陀羅尼』などが存在しています。この経典は8世紀に完成し、現在も法隆寺で保管されています。中国でも、867年とされる『金剛般若波羅蜜経』など、印刷物が多く存在しています。

活版印刷の始まり

活字を使った印刷の発明は中国に遡ります。活字そのものは早期から存在しましたが、本格的な組版による印刷は11世紀の北宋時代に工人である畢昇によって行われました。この時期、膠泥活字を用いた印刷が行われ、世界最古の活字印刷物は、温州市の白象塔から発見された『観無量寿経』です。

金属活字

13世紀になると、高麗でも活字印刷が発展しました。1234年から1241年にかけては鋳造された金属活字による印刷が行われ、現存する印刷物の中では世界最古のものとされています。

日本及び欧州への伝播

日本には活版印刷の技術が13世紀末に伝わり、江戸時代の初期に様々な印刷物が作られました。また、活版印刷がヨーロッパに入ったのはモンゴル軍の影響で、特に1445年にはヨハネス・グーテンベルクが活版印刷を行い、その後、聖書が印刷されました。欧州ではアルファベットの特性から活字の数が少なく、印刷が進展した一方、漢字文化圏では活字が多いため普及に時間がかかりました。

現代における活版印刷

活版の技術は、長い間印刷の中心として親しまれてきましたが、20世紀末以降、デジタル技術の発展によりその需要は減少しました。日本では21世紀初頭にかけて、活版印刷所が次々に廃業し、機械も廃棄されました。しかし、手作り感を求めるニーズが残り、活版印刷を請け負う企業や工房が存在しています。また、2019年には「活版WEST」というイベントが開催され現代の愛好者に支持されています。

活版印刷の工程

活版印刷の過程では、印刷に必要な活字を用意するところから始まります。特に和文の場合、多くの文字が必要で、事前に使う活字を選ぶことが求められます。その後、選定された活字を構成し、ゲラとして確認した後に印刷機に取り付けて印刷を行います。印刷後は、活字を分解して整理します。このように、活版印刷は技術的に高度で時間がかかる一方で、深い歴史を持つ魅力ある技術です。

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