浄住寺

浄住寺の紹介

浄住寺（じょうじゅうじ）は、京都市西京区に位置する黄檗宗の寺院で、山号は葉室山です。この寺院の本尊には釈迦牟尼仏が祀られており、京都洛西観音霊場の第30番札所に指定されています。浄住寺は鉄牛禅師によって再興され、黄檗宗においては本山に次ぐ重要な寺格を持つ寺院として知られています。寺院の構造は左右対称を特徴とし、回廊や方丈庭園も本山・萬福寺の様式が意識されています。長松派の本寺でもあり、長松院の筆頭寺院とされています。

歴史

浄住寺の歴史は古く、810年（弘仁元年）に嵯峨天皇の勅願寺として創立されたと伝わっています。初代の開山は円仁（慈覚大師）であり、当初は常住寺と名乗っていました。その後、1261年（弘長元年）に公卿の葉室定嗣が中興し、現在の浄住寺に改称されました。この時の中興開山は奈良の西大寺の叡尊です。浄住寺は葉室家の菩提寺として栄えましたが、歴史の中で幾度も戦火に見舞われ、1333年の戦乱や1467年から1477年の応仁の乱によって何度も荒廃し、1567年には全焼するなど、厳しい運命を辿りました。

1687年（貞享4年）には葉室頼孝によって再興され、鉄牛道機が中興開山として迎えられ、再び黄檗宗の寺院となりました。1697年（元禄10年）には現在の本堂や寿塔が再建され、方丈は伊達綱村の寄進によって建立されました。明治時代には一時的に無住となり、衰微しましたが、再興が進められました。

2006年には1333年作成の絵図が発見され、2007年には豊臣秀吉に関する中世文書が見つかりました。2010年には鉄牛道機を偲ぶ石碑が境内に建立され、浄住寺の歴史が再び注目を集めています。

浄住寺と茶

中世の時代、葉室の茶は非常に評価が高く、特に栂尾と並ぶ名茶として知られていました。この茶文化の振興には叡尊の影響が大きく、宇治橋の修繕や十三重石塔の建立に携わり、宇治茶を推進しました。現在でも境内に多くの茶の木が残されており、浄住寺と茶の結びつきは深いものがあります。また、方丈の襖絵には八田虎州による『琴棋書画図』があり、煎茶を楽しむ様子が描かれています。方丈を寄進した伊達綱村も煎茶を嗜んでおり、日本の煎茶文化の発展において黄檗禅が重要な役割を果たしたことが伺えます。

拝観や公開情報

浄住寺の本堂と方丈内は普段は公開されていませんが、境内は自由に散策できます。京都市観光協会による特別公開が2017年秋から行われており、毎年秋にメディアに取り上げられ、訪れる人々の注目を集めています。

文化財

浄住寺は市指定の文化財も有しており、本堂や位牌堂、開山堂、寿塔などがその一部です。また、色鮮やかな絵画として、紙本著色密雲円悟像や鉄牛道機像などが収蔵されています。これらの文化財は、浄住寺の歴史と伝統を今に伝える貴重な存在となっています。

浄住寺はその美しい庭園、豊かな歴史、茶文化を通じて、多くの人々に愛され続けている寺院です。

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