葉室家

葉室家：平安時代から明治時代へ至る名門の系譜

葉室家は、藤原北家勧修寺流を祖とする名門の公家・華族です。平安時代から明治時代へと続くその歴史は、日本の政治・社会構造の変化を反映しており、日本の歴史を理解する上で重要な家系の一つと言えます。

家祖と隆盛

葉室家の家祖は、藤原為房の次男である顕隆です。顕隆は白河法皇の近臣として重用され、兄をも凌駕するほどの出世を遂げました。「夜の関白」と称されるほどの権勢を誇り、葉室家の隆盛の基礎を築きました。

3代当主の光頼は剛直な性格で知られ、平治の乱では平清盛や信西と協力し、二条天皇を六波羅に移すなど、平氏政権の樹立に貢献しました。しかし、その後の承久の乱では、光頼の子孫である光親が鎌倉幕府討伐の宣旨を書き、処刑されたことから、光親流は衰退の一途を辿ります。

一方、宗頼流はその後も続き、頼親は伏見上皇の院政で執権を務めるなど、権勢を保ちました。足利義視に接近した教忠は、家として初めて従一位に叙せられ、その子光忠も足利義材から寵愛を受けましたが、明応の政変で敗れて処刑されました。

その後、家督相続に幾度か困難に見舞われながらも、頼業は数代ぶりに権大納言にまで昇進し、葉室家の再興に大きく貢献しました。頼業以降も、頼孝、頼胤、頼要と従一位に叙せられた当主が続き、朝儀典礼に通暁する者も多く輩出しました。彼らの残した記録は、当時の社会を知る上で貴重な史料となっています。

家業と菩提寺

葉室家の家業は儒学と有職故実であり、九条家の家礼を務めていました。江戸時代の家禄は183石で、旧家・内々として扱われていました。菩提寺は洛西の葉室山常住寺です。

華族としての葉室家

明治維新後、華族制度が誕生すると、葉室家は公家として華族に列しました。華族令の施行により、長邦が伯爵位を授けられ、葉室伯爵家となりました。その後、長邦の養子である長通は琴平神社宮司、直躬は賀茂御祖神社宮司、頼昭は春日大社宮司と、宮司職を歴任する者も出ています。

まとめ

葉室家は、平安時代から明治時代にかけて、日本の歴史の大きな転換期を経験しながらも、その都度状況に対応し、家系を維持し続けました。権勢を誇った時代もあれば、苦難の時代もありましたが、その歴史は、日本の公家社会や華族制度を知る上で非常に貴重なものです。儒学や有職故実といった家業、そして歴代当主が残した記録は、現代に繋がる歴史遺産として、今後も研究が続けられるべきでしょう。葉室家の歴史は、日本の歴史を深く理解する上で欠かせない要素の一つと言えるでしょう。

参考文献

浅見雅男『華族誕生 名誉と体面の明治』リブロポート、1994年
小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』中央公論新社、2006年
* 華族大鑑刊行会『華族大鑑』日本図書センター、1990年

もう一度検索