浅川マキ (アルバム)

浅川マキ（コンパクト盤）

概要

『浅川マキ』（あさかわマキ）は、日本の歌手、浅川マキが1971年に東芝音楽工業よりリリースしたとされるコンパクト盤です。規格品番はETP-4277、当時の定価は600円でした。

この作品は、浅川マキの公式なディスコグラフィーにおいて、生前に発表された唯一のコンパクト盤（ミニ・アルバム）として位置づけられています。その詳しい発売時期や制作に至る経緯については、多くの点が明らかになっていません。しかし、収録されている楽曲が、1970年9月5日に発売されたアルバム『浅川マキの世界』と、1971年4月5日に発売されたシングル「港の彼岸花」に含まれるものであることから判断すると、本盤は1971年の前半に発売されたものと推測されています。

収録楽曲は全部で4曲で、そのうち「かもめ」を除く3曲が、既存のアルバムやシングルとは異なるバージョンやミックスで収められているという特徴があります。

ジャケットデザインと裏面情報

本盤のジャケット表面は、浅川マキの写真を複数使用したコラージュデザインが採用されています。向かって左側にはステージで歌唱する立ち姿の全身像が、右側にはシングル「港の彼岸花」のジャケットにも用いられた肖像写真が配置されています。これらの写真のうち、どちらか一方が左右反転（鏡像）して使われているようですが、どちらがオリジナル画像かは不明です。

ジャケットの裏面には、収録された4曲すべての歌詞が掲載されています。また、アーティスト名として「歌 浅川マキ」、演奏者として「演奏）東芝レコーディング・オーケストラ」とクレジットされています。作詞・作曲・編曲者の名義も各楽曲ごとに記されていますが、とりわけ「港の彼岸花」の表記のみ、他の楽曲と異なりローマ字で記されている点が目を引きます。さらに、樹木のシルエットの中に白抜きで「NEW FOLK」と記されたロゴタイプが印刷されているのも特徴です。

発売背景

当時、レコード会社の東芝音楽工業は「コンパクト7」のようなコンパクト盤シリーズを積極的に展開しており、本盤もそうしたレーベルの企画の一環として制作・発売されたものと推察されています。ただし、本作自体に「コンパクト7」の名称は冠されていません。

収録曲

全楽曲の編曲は山木幸三郎が手掛けています。

Side A

1. 夜が明けたら (Single Version.)
作詩・作曲：浅川マキ
浅川マキがライヴハウス「蠍座」で行った実況録音音源のシングルバージョンとされています。曲の終わりには、機関車の出発音や航空機の離陸音といった効果音（SE）が挿入されています。
2. かもめ
作詩：寺山修司／作曲：山木幸三郎

Side B

1. 港の彼岸花 (Single Version.)
M. Asakawa, R. Nakanishi ― K. Suzuki Arr. by Kozaburo Yamaki
（作詩：浅川マキ／補作詩：なかにし礼／作曲：鈴木薫／編曲：山木幸三郎）
シングルバージョンが収録されています。クレジットはローマ字表記です。
2. ちっちゃな時から (Album Mix.)
作詩：浅川マキ／作曲：むつひろし
アルバム『浅川マキの世界』の制作過程で加えられたとみられる効果音がわずかに残されており、そのままフェードアウトしていくミックスです。

クレジット

ジャケット裏面には、以下の名義がクレジットされています。

歌: 浅川マキ
演奏: 東芝レコーディング・オーケストラ

「東芝レコーディング・オーケストラ」は、当時のレコード会社が使用した名義上の存在であり、実際の演奏はスタジオミュージシャンなどによって行われています。個々の楽曲の実際の演奏参加者については、それぞれの楽曲が収録された他の作品（アルバム『浅川マキの世界』や『MAKI II』など）の記事で詳細が確認できます。

このコンパクト盤は、浅川マキの初期の重要な楽曲群を、発表当時の特定のバージョンやミックスで聴くことができる資料として、そのユニークな存在意義を示しています。

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