浅瀬石城

浅瀬石城（あせいしじょう）

浅瀬石城は、現在の青森県黒石市浅瀬石地区に位置する平山城です。舌状台地の先端に築かれ、天然の地形を巧みに利用した構造となっています。かつては「汗石城」とも呼ばれていました。

概要

城跡は現在リンゴ園となっており、当時の堀跡は農道として利用されています。浅瀬石川が城の近くを流れており、東側と北側は川が天然の防御となっています。一方、西側と南側は平地が広がっており、城下町があった高賀野方面への備えが必要とされていました。

歴史

築城は仁治元年（1240年）に一戸行重によって行われたという説がありますが、確かな資料に乏しく、詳細は不明です。

戦国時代には、城主の千徳政氏が南部氏を裏切り、津軽為信と同盟を結んだことで、南部氏との対立が激化しました。天正13年（1585年）には、南部信直が東政勝を大将とする3000の軍勢で浅瀬石城を攻撃しましたが、千徳勢はこれを撃退しました（宇杭野の合戦）。しかし、この戦いで津軽為信が援軍を送らなかったことが、後の千徳氏と津軽氏の不和の原因になったとされています。

慶長2年（1597年）には、千徳政康の代に津軽氏との同盟関係が破綻し、重臣の木村越後らが津軽氏に寝返り、本丸が急襲されました。森岡金吾率いる津軽勢2500人の攻撃に対し、2000の城兵は奮戦しましたが、最終的に落城し、政康は自害。これにより、浅瀬石城は廃城となりました。

構造

城は本丸、二ノ丸、侍屋敷、町屋敷、代官館、御堂館で構成されていました。

本丸：東西約170メートル、南北約180メートル。比高は約30メートル。東側と南側には堀が設けられ、北側は沢が天然の要害となっていました。
二ノ丸：本丸の東側に位置し、東西約60メートル、南北約80メートルの規模でした。南側と西側には堀が設けられ、北側は沢となっていました。
侍屋敷・町屋敷：本丸と二ノ丸の南側に広がり、東西約200メートル、南北約80メートルの範囲に及びます。浅瀬石城の城下町として機能し、最盛期には家中侍屋敷530軒余り、市街地1230軒余り、近在の家200軒余りが軒を連ねていました。
代官館・御堂館：本丸などがある丘陵と沢を隔てた北側に位置しています。代官館は文安元年（1444年）頃に築かれました。本丸から離れているため、監視用の砦としての役割も担っていたと考えられます。

支城

浅瀬石城の支城としては、以下のものがありました。

石名坂館（石名坂氏）
中野不動館（築地氏）
その他多数

アクセス

東北自動車道黒石ICから徒歩約2分
弘南鉄道弘南線黒石駅からバス「高賀野経由尾上線」に乗車し、高賀野で下車後、徒歩約10分

参考文献

沼館愛三 1981『津軽諸城の研究』伊吉書院

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