石名坂館

石名坂館は、青森県黒石市石名坂字舘に位置する日本の城郭（山城）です。単郭、または主郭と外郭で構成されていたと考えられています。主郭は250メートル×150メートルの方形で、縄文時代の遺跡でもあり、現在は宅地として利用されています。

立地

館は、南を浅瀬石川、北側を豊岡川という自然の要害を堀として利用し、比高約30メートルの場所に築かれていました。この地形は、防御に適しており、天然の要塞としての役割を果たしていました。

歴史

奥州藤原氏との関わり: 文治5年（1189年）6月、奥州藤原氏の家臣であった佐藤基春が、主家の滅亡に伴いこの地へ逃れ、かつての所領から「石名坂」と名付けたと伝えられています。
石名坂氏の時代: 戦国時代には、石名坂氏が浅瀬石城主である千徳氏に仕えていました。南北朝時代には、千徳政晴の子である久清が石名坂左近の養子となったという記録があり、この頃から千徳氏の配下にあったと考えられます。
宇杭野合戦と廃城: 天正13年（1585年）の宇杭野合戦で、当時の館主であった近江守正長が討ち死にしたことで、石名坂館は廃城になったと考えられています。

構造

主郭は方形で、周囲に堀や土塁が設けられていた可能性があります。現在では宅地となっているため、遺構の詳細は不明な点が多いですが、自然の地形を巧みに利用した城郭であったと考えられます。

その他

石名坂という地名は、奥州藤原氏家臣の佐藤基春が名付けたという伝承が残っています。また、石那坂という表記も見られます。

参考文献

菅英志 1980『日本城郭大系』新人物往来社
角川書店 1985『角川日本地名大辞典』
黒石市 1987『黒石市史-通史編Ⅰ-』
石原洋三郎 2017『石那坂』第一印刷

関連項目

奥州藤原氏
佐藤基治
石那坂
津軽氏
南部氏

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