浅野長之

浅野長之（あさの ながゆき）

浅野長之は、元治元年（1864年）に生まれ、昭和22年（1947年）に没した日本の宮内官僚、政治家、そして華族です。彼は貴族院侯爵議員としてもその名を知られています。

経歴

浅野長之は、浅野家分家である浅野懋績（としつぐ）の九男として誕生しました。その後、本家である浅野長勲の養子となります。

彼は1876年にイギリスへ留学し、1881年に帰国。その後、1885年に再びイギリスへ留学し、1889年に王立理学校を卒業、1890年に帰国しました。留学中には東京大学予備門も修了しています。

1895年以降は宮内省に出仕し、式部官兼主猟官、外国貴賓接伴員、大喪使事務官、大礼使事務官などの要職を歴任しました。1910年には、伏見宮貞愛親王に随行してイギリスへ出張しています。

浅野長之は、華族銀行とも呼ばれた十五銀行の取締役も務めていました。しかし、1927年（昭和2年）に昭和金融恐慌が発生し、銀行は破綻。頭取経験者であった松方巖が私財の供出に応じたことを受け、浅野も滝野川中里の別邸などを銀行整理のための資金として提供しました。

1937年3月1日、養父である長勲の死去に伴い、侯爵を襲爵し貴族院侯爵議員に就任。1939年1月21日には、第74回帝国議会で資格審査委員長に互選されました。1940年12月20日に隠居し、家督は長男の長武が継承しました。

栄典

浅野長之は、その功績により以下の位階を受けています。

1930年（昭和5年）5月1日 - 正三位

また、外国勲章佩用も允許されています。

1909年（明治42年）4月6日 - ロシア帝国神聖スタニスラス第二等勲章

親族

浅野長之の親族は以下の通りです。

前妻：鑑子（あきこ、松平定安八女、のち離縁）
後妻：恭子（きょうこ、大河内輝声三女）
長男：浅野長武（侯爵、東京国立博物館長）
長女：礼子（九鬼隆興夫人）
二男：大河内輝信（大河内輝耕養子）
二女：望子（斯波正夫夫人）
三男：浅野鐵馬（浅野忠純養子）
兄：浅野長厚（安芸国広島新田藩第7代藩主）

参考文献

富田仁編『海を越えた日本人名事典』新訂増補、日外アソシエーツ、2005年。
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成』上巻、霞会館、1996年。
* 衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。

もう一度検索