浅間温泉

浅間温泉について

浅間温泉は、長野県松本市北東部に位置する歴史ある温泉地で、松本市の奥座敷として知られています。約1000年前に開湯されたと伝えられ、古くから多くの人々に親しまれてきました。

泉質

浅間温泉の泉質は、主にアルカリ性単純温泉です。源泉は複数あり、それぞれ温度や成分が異なります。主な源泉としては、第1号源泉、第2号源泉、第4号源泉、東北源泉、山田源泉、大下源泉、鷹の湯源泉の7つが利用されています。かつては旧松の湯源泉もありましたが、現在は枯渇しています。また、温泉街から少し離れた場所には、未利用の源泉も存在します。

一般的に無色無臭ですが、第1号源泉のみ微かな硫黄臭が感じられます。これらの多様な源泉が、浅間温泉の魅力を引き立てています。

温泉街の様子

温泉街の中心には温泉会館があり、その周辺には約30軒の旅館と、日帰り入浴施設が2軒（枇杷の湯、市営浅間温泉会館ホットプラザ浅間）、共同浴場が3軒（仙気の湯、港の湯、倉下の湯）あります。その他、各町内会で管理する共同浴場も多数存在しますが、一般には開放されていません。近年まで一般開放されていた北仙気の湯も、現在は利用できません。

また、温泉街の活性化を目指す新会社「WAKUWAKU浅間温泉」が設立され、老舗旅館の改装など、新たな取り組みも進められています。

歴史

浅間温泉の歴史は古く、開湯は約1000年前の天慶2年（939年）に、地元の豪族である犬飼氏によって発見されたと伝えられています。そのため、「犬飼の御湯」とも呼ばれていました。

江戸時代には、松本藩主の石川氏が別邸を構え、その後、松本藩の保養地として利用されました。当時の温泉は「御殿湯」と呼ばれ、湯守によって管理されていました。現在の日帰り入浴施設「枇杷の湯」が、この御殿湯にあたります。また、藩士の保養を目的とした「御組の湯」や「柳の湯」、「御用馬の湯」なども設けられていました。

元禄時代には、善光寺街道の宿場町として栄え、『善光寺街道名所絵図』には、旅人が内湯や外湯を利用して旅の疲れを癒す様子が描かれています。

明治時代には、災害により御殿湯などが被害を受けましたが、その後、近隣の山には植林などの災害対策が施されました。

浅間温泉は、宮家（閑院宮や久邇宮）や文人（若山牧水、与謝野晶子、徳田秋声）など、多くの著名人が訪れた地でもあります。太平洋戦争末期には、特攻隊員の待機所が置かれたこともありました。

また、テレビドラマ『白線流し』のロケ地として、浅間温泉の旅館が使用されたことでも知られています。

2005年度からは、観光協会が「松本あさま温泉」という名称を使用していますが、これは、浅間山との混同を避けるため、松本近郊の温泉であることを明確にするためのものです。

たいまつ祭り

浅間温泉の秋の風物詩である「たいまつ祭り」は、御射神社に松明を奉納する祭りです。麦わらで作られた大小50本以上の松明を担ぎ、火焔太鼓の音と共に温泉街を練り歩き、最後に松明を投げ入れるという、勇壮な火祭りです。この祭りは、日本三大奇祭の一つに数えられることもあります。観光客も飛び入り参加が可能で、祭りを盛り上げます。

御射神社

御射神社は、三才山山中に奥宮（秋宮）、浅間温泉に浅間の宮（春宮）があります。祭神は、建御名方命、八坂刀売命、事代主命の三神で、狩猟と農耕の神とされています。この地が「浅間社」と呼ばれていた時代には、春宮のすぐ下に神宮寺が建てられていました。

地名としての浅間温泉

浅間温泉は、松本市の町名および大字としても存在します。温泉街は1991年の住居表示実施により、浅間温泉一丁目から三丁目に分かれ、背後の山側は「大字浅間温泉」となっています。

アクセス

公共交通機関を利用する場合、JR篠ノ井線松本駅からアルピコ交通のバスを利用します。浅間線や新浅間線で約25分、信大横田循環線や横田信大循環線で約20分でアクセスできます。かつては松本電気鉄道浅間線という路面電車が運行していましたが、現在は廃止されています。

自家用車を利用する場合は、長野自動車道松本ICから国道143号などを経由します。松本IC付近は混雑しやすい為、梓川スマートICから松本トンネルを経由するルートが推奨されています。

まとめ

浅間温泉は、豊かな自然と歴史、そして多彩な温泉が魅力の温泉地です。松本を訪れる際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

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