松本電気鉄道浅間線

浅間線（あさません）

浅間線は、かつて長野県松本市にあった松本電気鉄道（現・アルピコ交通）の路面電車で、沿線にある浅間温泉へのアクセスを提供していました。この路線は1889年から1964年にかけて運行され、当時の地域の交通に重要な役割を果たしました。具体的には松本駅前から浅間温泉までの合計5.3kmの距離を結ぶものでした。

路線概要

松本駅前から学校前までの約1.6kmは国道143号と県道63号の上の併用軌道として設計されており、この区間は地元住民から「電車通り」とも呼ばれていました。その後の約3.7kmは専用軌道で、浅間温泉へ向かいます。

路線廃止後、専用軌道区間は1993年まで未舗装ながら松本電鉄バスの専用道路として利用され、現在は市道となっています。また、廃止後も新浅間線という名称の路線バスが浅間線と同じルートをほぼ踏襲して運行されています。

路線データ

• - 路線距離：5.3km（松本駅前 - 浅間温泉）
• - 軌間：1067mm
• - 駅数：18駅（起終点駅を含む）
• - 複線区間：なし
• - 電化区間：全線（直流750V、1964年までは直流600V）

運行情報

1961年当時、松本駅前から浅間温泉までの所要時間は約18分で、日中は全区間で10分間隔、早朝や深夜には20分間隔で運行されていました。

歴史的背景

戦後、自動車の普及に伴い、松本駅前の交通が混雑し、1955年には松本市長から軌道撤去が求められるようになりました。これに対し、松本電鉄側は特に問題視しませんでしたが、浅間温泉周辺で影響を受ける住民の反対に遭いました。1975年に村長選挙が実施され、松本電鉄側が支援していた候補が当選した結果、1964年に路線は廃止されました。

開業当初とその後の変遷

• - 1922年3月9日：筑摩鉄道に対し軌道特許状が下付される
• - 1923年10月：松本-浅間間の建設を開始
• - 1924年4月19日：筑摩電気鉄道によって全区間が開業
• - 1932年7月：松本駅前乗降場を移転
• - 1964年4月1日：廃止

停留所名と位置

• - 松本駅前駅：松本駅の駅前に位置しており、現在は歩道に転用されています。
• - 国府町駅：国府町バス停の近くにある。
• - 学校前駅：元々の旧制松本高校近くで、カーブがきつく脱線しやすかった。
• - 横田駅：車庫が併設されていて運行の拠点だった。

(さらに多くの駅や詳細な情報は省略されましたが、それぞれに独特の特徴があります。)

現在の状況

廃線後、浅間線の跡地は松本電鉄のバス専用道路に転用されました。当初は未舗装の状態が続き、そのため散水車も導入されて土埃防止策が取られました。この散水車は現在も日本バス友の会による保存がされています。

エピソードとして、松本電鉄創業90周年を記念し、チンチン電車風の路線バスが運行されたこともあります。現在でも松本バスターミナルから浅間温泉への2つのバス路線が運行されており、当時の名残を感じさせます。

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