浦森林鉄道

浦森林[[鉄道]]とは

浦森林[[鉄道]]は、かつて長野県伊那市長谷地域を走っていた森林[[鉄道]]です。林野庁長野営林局伊那営林署（現在の中部森林管理局南信森林管理署）が、国有林からの木材搬出を目的として敷設・運営していました。

路線概要

幹線

総延長：20,674m
軌間：762mm（2フィート6インチ）
勾配：平均22‰、最急45‰
最小半径：20m
幅員：2.2m

現在の伊那市長谷杉島から三峰川に沿って上流へと伸びていました。

支線（荒川支線）

総延長：2,880m
勾配：平均20‰、最急50‰
最小半径：8m
幅員：2.2m

荒川から北荒川へ向かう支線です。

経由地

杉島 - 戸草 - 平瀬 - 保久曽 - 小瀬戸 - 東風巻 - 大曲 - 荒川 -（荒川支線）- 北荒川

車両

機関車： 3台。
杉島に1台、小瀬戸に2台が配備されていましたが、時期によっては大曲や荒川にも配置されていました。
廃止後は木曽[[森林[[鉄道]]]]に移管され、そのうち1台が南木曽町の山の歴史館に展示されています。
木材運搬車： 約120台。
当初は木製台車でしたが、後にエアブレーキ付きの鉄製台車に置き換えられました。
母台車： 連結した台車に丸太を並べ、木炭や薪などを運搬。
客車： 木材運搬用台車を改造した木製有蓋車。
モーターカー： 路線巡視や保線用。

歴史

この地域は、古くから「赤石山脈御林」として知られていました。江戸時代から筏流しによる木材搬出が行われていましたが、昭和に入り森林[[鉄道]]による陸運に移行しました。

1939年（昭和14年）： 小瀬戸に「浦伐木所」が開設され、本格的な伐採が開始。
1941年（昭和16年）： 杉島～小瀬戸間が開通。
1945年（昭和20年）： 荒川まで延伸。
1951年～1952年（昭和26～27年）： 荒川支線が北荒川まで延伸。

森林[[鉄道]]の開通は、物資輸送の困難な地域住民にとって非常に喜ばしい出来事でした。1945年からは人走定期便が運行し、登山客や釣り客の足としても利用されました。

1946年には杉島に製材所が開設され、建材や薪などが生産されました。1957年にはチェーンソーが導入され、翌年には車両にエアブレーキが導入されるなど、生産性と安全性が向上しました。

しかし、1959年の台風7号により貯木場や製材所が流失し、大きな被害を受けました。また、大曲橋の流失により、荒川支線は廃止となりました。

1961年の梅雨前線豪雨（三六災害）では再び被害を受け、復旧が困難になったことから、鉄道から自動車輸送への切り替えが進み、1964年に全線が廃止されました。

事故

運行中には、カーブでの転落や車両転覆などの事故が多発し、乗員や乗客が死傷する例がありました。また、子供が誤ってブレーキを緩めたことによる暴走事故も発生しました。

沿線

瀬戸峡
小瀬戸ノ湯： 温泉
巫女淵
大曲橋： 森林[[鉄道]]時代はトラス橋でしたが、後に車道用永久橋に架け替えられました。
荒川のカーブ索道： 北荒川と南荒川の合流点付近に設置された索道で、レールを用いた90度カーブが特徴的でした。

参考文献

池上正直, 伊藤一夫, 荻原貞利, 柿木憲二, 長瀬康明, 松崎岩夫 著, 向山雅重監修 編『図説・上伊那の歴史 下巻』郷土出版社, 1987
戸草ダム民俗等調査委員会編『奥三峰の歴史と民俗』長谷村教育委員会, 1994
西裕之『全国森林[[鉄道]]』JTB, 2001
西村富夫「森林[[鉄道]]の想い出」『伊那路』第22巻第10号, 上伊那郷土研究会, 1978
長谷村誌刊行委員会編『長谷村誌 2 自然編・現代社会編』長谷村誌刊行委員会, 1994
矢部三雄『近代化遺産 国有林森林[[鉄道]]全データ 中部編』信濃毎日新聞社, 2015

関連項目

黒河内森林[[鉄道]]
林業
林道
森林[[鉄道]]
国有林
帝室林野局
廃線
モータリゼーション
昭和36年梅雨前線豪雨
三峰川
美和ダム
戸草ダム
南アルプス（中央構造線エリア）ジオパーク

外部リンク

人と暮らしの伊那谷遺産プロジェクト 浦・黒河内森林[[鉄道]]跡
* 南信森林管理署

浦森林[[鉄道]]は、地域の歴史と人々の生活に深く関わった鉄道でした。その軌跡は、今もなお、この地に残る遺構や資料から偲ぶことができます。

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