浦里はる美

浦里はる美：時代劇スターから文化研究家へ

1934年生まれの浦里はる美（本名：碓井布佐）は、日本の女優として時代劇全盛期を彩ったスターの一人です。神奈川県横浜市出身で、華麗な着物姿と魅力的な容姿で多くの観客を魅了しました。

華麗なる時代劇女優としてのキャリア

浦里はる美の女優人生は、1953年、劇団新派への入団から始まります。芸名「竹村才与子」として舞台『女の決闘』で鮮烈なデビューを飾りました。その後、東映に入社し、芸名を「浦里はる美」に変更。「喧嘩奉公」で映画デビューを果たします。

彼女の真骨頂は時代劇でした。着物の着こなしの巧みさと肉感的な魅力は、時代劇における「ヴァンプ女優」としての地位を確立することに貢献し、以後130本以上の映画に出演。片岡千恵蔵ら大スターと共演するなど、東映時代劇黄金期を代表する女優として活躍しました。代表作には、「美女と怪龍（吉村公三郎監督）」などがあります。吉村公三郎監督作品『美女と怪龍』はキネマ旬報ベストテン第10位にランクインするなど高い評価を得ています。

1960年代後半からは、テレビドラマや舞台へと活躍の場を広げ、幅広い演技力で多くの作品に出演。時代劇のみならず現代劇にも対応できる高い演技力を示しました。代表作として、テレビドラマ『必殺仕掛人』『白い巨塔』など、数々の作品に重要な役柄で出演しています。

文化研究家としての側面

女優としての成功にとどまらず、浦里はる美は江戸時代末期からの女性風俗や衣装にも造詣が深く、1989年には近代和装風俗編纂家を設立するなど、その知的な一面も垣間見えます。1990年には、駒澤大学仏教学部で聴講生として学び、幅広い知識を深めました。

晩年と没後

2008年には、『映画監督佐々木康 生誕100年祭・東映オールスター時代劇映画特集』のトークショーに登壇し、多くのファンを喜ばせました。サイン会も開催されるなど、女優としての輝きは晩年まで衰えることはありませんでした。

2011年2月13日、脳梗塞のため76歳で永眠。数々の名作に出演し、日本の映画史、テレビ史に大きな足跡を残しました。時代劇女優としての華麗なキャリアと、文化研究家としての知的な探究心、両面でその才能を発揮した浦里はる美の功績は、後世に長く語り継がれるでしょう。

主要出演作品

映画

続続続続魚河岸の石松 (1954年)
喧嘩奉行 (1955年)
美女と怪龍 (1955年) - キネマ旬報ベストテン第10位
赤穂浪士 天の巻 地の巻 (1956年)
電光空手打ち (1956年) - 高倉健と共演
大菩薩峠 (1957年)
コント55号とミーコの絶体絶命 (1971年)

テレビドラマ

半七捕物帳 (1961年、NTV)
三匹の侍 (CX)
必殺仕掛人 (1972年、ABC/松竹)
白い巨塔 (1978年、CX)
鬼平犯科帳 (1981年、ANB)

舞台

女の決闘
芸者秀駒
花と龍
五番町夕霧楼

参考文献

* 『女らしさを磨く 女優・浦里はる美の宝箱』

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