浪花町 (神戸市)

浪花町：神戸の心臓部を彩る歴史と商業の街

兵庫県神戸市中央区に位置する浪花町は、郵便番号650-0035。旧居留地の中核を成すこの地域は、東西に伸びる道路沿いに、近代的なオフィスビルが立ち並ぶ商業の中心地として知られています。東は京町、南は海岸通、西は播磨町、北は三宮町一丁目と隣接しており、住居表示は未実施で、歴史的な地番が現在も使用されています。

歴史の足跡：明治時代から現代へ

浪花町の歴史は、1872年（明治5年）にまで遡ります。当時の神戸外国人居留地は、東西5本、南北8本の道路で区画され、浪花町は西から4番目の道路沿いに位置していました。幅9メートル、長さ370.8メートルのこの道路には、他の道路と同様に著名な地名から「浪花町」という名が付けられました。この名称が正式な町名となったのは、1899年（明治32年）、居留地が日本に返還された時です。

その後、浪花町は神戸市、神戸区、生田区を経て、1980年（昭和55年）から中央区に属しています。この間、多くの歴史的出来事や建築物が浪花町の発展に彩りを添えました。

重要な出来事と建造物

1874年（明治7年）： 英国領事館が居留地9番館に移転。
1880年（明治13年）頃： 旧居留地十五番館（後にノザワ本社社屋となる）が建設される。
1881年（明治14年）： 米国領事館が加納町から移転。
1917年（大正6年）： 米国領事館が明石町へ移転。
1919年（大正8年）： オランダ領事館が京町から移転、後に播磨町へ移転。
1920年（大正9年）： ノルウェー領事館が前町から移転。ギリシャ領事館が開設。
1928年（昭和3年）： ノルウェー領事館が仲町へ移転。
1933年（昭和8年）： 神戸証券取引所（後の神戸朝日ビル）が完成。
1934年（昭和9年）： 前町・仲町・裏町の各一部を編入。

戦後にはオランダ総領事館、スイス領事館も開設されましたが、その後移転しています。現在では、神戸朝日ビル、兵庫県信用保証協会、西日本電信電話株式会社兵庫支店三宮別館、ホテルトラスティ神戸旧居留地、旧居留地十五番館、三井住友銀行神戸本部ビルなど、多くの重要な施設が浪花町に集まっています。三井住友銀行神戸本部ビルは、かつて神戸銀行本店、太陽神戸銀行本店・神戸本部、さくら銀行関西本部として使用されていた歴史ある建物です。

人口の変遷

浪花町の人口は、時代とともに変化を遂げてきました。1901年（明治34年）には戸数14戸、人口24人でしたが、1920年（大正9年）には世帯数20、人口63人に増加。しかし、平成17年国勢調査（2005年10月1日現在）では定住者ゼロと記録され、商業地域としての性格がより強まっていることが伺えます。1988年（昭和63年）と1960年（昭和35年）の世帯数と人口も、それぞれ0、2世帯3人と、非常に少ない人数でした。

参考文献

神戸史学会 編『神戸の町名 改訂版』神戸新聞総合出版センター、2007年。ISBN 978-4-343-00437-6。
* 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 竹内理三 編『角川日本地名大辞典 28 兵庫県』角川書籍、1988年。ISBN 978-4040012803。

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