海北友松

海北友松（かいほう ゆうしょう）

海北友松（1533年 - 1615年）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した絵師であり、水墨画の大家として知られています。近江国（現在の滋賀県）に生まれ、禅の修行を経て画家の道へ進み、独自の画風を確立しました。狩野派の影響を受けつつも、宋元画、特に梁楷の画風に傾倒し、鋭く力強い描線と大胆な省略による画法で独自の境地を開きました。

生涯

海北友松は、浅井氏の家臣である海北綱親の五男（または三男）として生まれました。2歳の時に父が戦死したことがきっかけで禅門に入り、京都の東福寺で修行を積みました。この修行時代に狩野派の画法を学んだとされていますが、師については狩野元信、または狩野永徳であるという説があり、定かではありません。

浅井氏が滅亡した後、還俗して海北家の再興を目指しますが、その画才が豊臣秀吉に認められ、武士の道から離れ、晩年は画業に専念することになります。八条宮智仁親王や亀井茲矩、安国寺恵瓊など、当時の文化人や有力者との交流がありました。また、明智光秀の重臣であった斎藤利三とも親交があり、利三が処刑された際には、その遺骸を密かに埋葬したと伝えられています。

画風と作品

友松の画風は、水墨画を基調とし、大胆な構図と力強い筆致が特徴です。特に、梁楷の影響を受けた減筆体と呼ばれる省略の多い画法を駆使し、対象の本質を鋭く描き出しました。大画面の水墨画が多いですが、金碧濃彩の屏風絵も手掛けており、その画風の幅広さを示しています。

現存する作品は多くありませんが、代表作として知られるのが、建仁寺本坊大方丈の障壁画です。この障壁画は、安国寺恵瓊が方丈を移築する際に友松に制作を依頼したもので、「琴棋書画図」「山水図」「竹林七賢図」「花鳥図」「雲龍図」など、多様なテーマが描かれています。これらの作品は、友松の画風を代表するものであり、彼の力量を今に伝える貴重な文化財となっています。

友松の作品は、制作年を特定することが難しいものが多いですが、署名や印章の様式変化から、ある程度の年代推定が可能です。

主な作品

建仁寺本坊大方丈障壁画（重要文化財）

海北友松を演じた人物

吉幾三 - NHK大河ドラマ『春日局』(1989年)

海北友松は、その独自の画風と生き方によって、後世の художники들에게 大きな影響を与えました。彼の作品は、日本の美術史における重要な位置を占めています。

墓所

京都府京都市左京区浄土寺真如町の真正極楽寺（真如堂）に墓所があります。

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