真正極楽寺

真如堂（しんにょどう）：歴史と文化が息づく京都の紅葉名所

真如堂、正式名称を真正極楽寺（しんしょうごくらくじ）は、京都市左京区浄土寺真如町に位置する天台宗の寺院です。鈴聲山（れいしょうざん）を山号とし、阿弥陀如来を本尊として祀り、古くから多くの人々の信仰を集めてきました。境内には洛陽三十三所観音霊場第5番札所である新長谷寺も含まれています。

歴史：幾多の変遷を乗り越えて

真如堂の歴史は、永観2年（984年）に比叡山延暦寺の僧・戒算が、夢告をきっかけに延暦寺常行堂の本尊である阿弥陀如来像を一条天皇の生母である詮子の離宮に安置したことに始まります。その後、一条天皇の勅許を得て本堂が建立され、不断念仏の道場として、特に女性からの篤い信仰を集めました。

しかし、応仁の乱（1467年）によって堂塔は焼失。本尊は比叡山黒谷青龍寺、そして近江国穴太の宝光寺へと避難を余儀なくされました。乱の終息後、再建は幾度となく繰り返されました。一条西洞院への移転、旧地への復帰、さらには足利義昭、豊臣秀吉の命による移転など、幾多の困難を乗り越え、現在の地に落ち着くまでに長い歳月を費やしました。現在の本堂は享保2年（1717年）に再建されたものです。

真如堂の本尊である阿弥陀如来像は、「うなずきの阿弥陀」として知られています。慈覚大師円仁によって一刀三礼で彫られたと伝えられ、完成間際に比叡山での安置を拒否し、京の都で衆生を救済することを三度頷いて示したという伝説が残されています。

三井家の菩提寺でもあり、三井高利をはじめとする一族の墓所も境内にあるなど、歴史的にも重要な寺院です。また、浄土宗の重要な仏教行事である「お十夜」の発祥の地としても知られています。近年では、秋の紅葉の名所として多くの観光客が訪れるようになりました。

境内：数々の文化財と美しい庭園

真如堂の境内には、多くの見どころがあります。重要文化財に指定されている本堂をはじめ、鐘楼堂、三重塔といった歴史的建造物に加え、様々な仏像や庭園も存在します。「涅槃の庭」と「随縁の庭」は、借景を取り入れた美しい枯山水庭園として知られています。

その他にも、三千佛堂、三井高利の墓、斎藤利三の墓、海北友松の墓、伝教大師巡錫之像、万霊堂、薬師堂、庫裏、書院、開山堂、真如山荘、鎌倉地蔵堂、縣井観音堂、茶所（善光寺堂）、池、赤崎弁財天、元三大師堂など、多くの建造物や仏像が境内を彩っています。塔頭寺院として、東陽院、松林院、吉祥院、覚円院、法輪院、理正院、喜運院、法伝寺も存在します。

文化財：国宝と重要文化財を擁する寺院

真如堂は、数多くの貴重な文化財を所蔵しています。国宝には、運慶の発願によって書写された『法華経』の一部が含まれます。また、重要文化財としては、本堂の他、絹本著色普賢菩薩像、紙本著色真如堂縁起、紙本墨画淡彩寒山拾得図、木造阿弥陀如来立像（うなずきの阿弥陀）、慈円僧正消息などが挙げられます。京都府指定有形文化財にも、元三大師堂、総門、鐘楼堂、三重塔が登録されています。

アクセス：公共交通機関を利用して

真如堂へのアクセスは、京都市営バスが便利です。真如堂前バス停または錦林車庫前バス停で下車後、徒歩で向かうことができます。周辺には、金戒光明寺、泉屋博古館、聖護院、平安神宮、岡崎公園など、多くの観光地があります。

まとめ

歴史と文化、そして自然が調和した真如堂は、静寂の中に荘厳な美しさを感じさせる場所です。紅葉の季節には特に美しく、多くの観光客が訪れますが、普段は静かな時間を過ごせる寺院です。京都を訪れた際には、ぜひ訪れてみてください。

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