海原壱一

海原壱一（かいばら かずいち）

1935年 - 2018年8月12日。日本の実業家。海原建設社長。大阪府同和事業促進協議会理事、大阪府同和建設協会専務理事。部落解放同盟大阪府連合会向野支部副支部長。元暴力団小三組幹部。元有限会社ワールド牧場代表取締役。

人物

大阪府羽曳野市の同和地区出身。若い頃、酒梅組初代・鳶梅吉の舎弟である榎並三之助が率いる小三組に関わり、榎並が経営する榎並工務店に入社。1963年頃までは暴力団小三組の幹部として活動し、ピストル不法所持で逮捕歴もある。

1963年、海原組を創業。当初は市営住宅に事務所を構え、建設現場に労働者を派遣する小規模な土建業者だった。工事を請け負う能力も乏しかったとされる。

1966年、資本金5000万円で海原建設を設立。1969年、部落解放同盟朝田派が主導し、羽曳野支部が排除され向野支部が設立されると、これに参加し副支部長に就任。以降、同和対策事業に参入し急成長を遂げる。1971年には、羽曳野市の同和建設予算約15億円のうち、83.7%にあたる12億5000万円を独占受注。創業からわずか7年で、資本金合計2億9000万円の海原グループへと発展した。

1969年から1973年の間に、海原観光、海原地所、羽曳野建設、南大阪設備、三国電設工業、壱二建設、阪南設計事務所、南大商事などの系列会社を次々と設立。さらに、東京の新橋でナイトクラブ、大阪の藤井寺市でサウナを経営するなど、事業を多角化した。

和歌山県太地には、時価3億円とも言われる豪邸『海原御殿』を所有。6600平方メートルの一等地に建てられた鉄筋コンクリート造り2階建て（建坪348平方メートル）の豪邸には、総ヒノキ・大理石の風呂、プール、ヘリポートなどが備えられていた。その豪華さは田中角栄の「田中御殿」を凌ぐとも報じられた。海原一家は6頭のイルカとクジラを飼育し、八尾空港に所有するヘリコプターで別荘と自宅を往復する生活を送っていた。

1973年、羽曳野市で日本共産党の津田一朗が市長に就任。津田市長は、地元企業への公平な入札を徹底するため、一つの業者が工事を受注した場合、その工事が完了するまで次の工事に入札させないという方針を導入。これにより、海原建設は羽曳野市での勢いを失った。

親族

実弟の海原明美は、山口組系菅谷組に多額の持参金を持って入会した組員。松本羽曳野市長時代には、山口組の代紋を付けて建築工事の入札に参加したことがある。

参考文献

中原京三『追跡・えせ同和行為』p.135-136
溝口敦『食肉の帝王 - 巨富をつかんだ男 浅田満』講談社、2003年

関連項目

浅田満
朝田理論

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