海天級防護巡洋艦

海天級防護巡洋艦

概要

海天級防護巡洋艦は、清国の北洋艦隊で使用されるために設計された艦級であり、第一次世界大戦前に就役しました。清国海軍は、日本海軍との競争を背景に、イギリスのアームストロング社にこの艦級を発注しました。この艦は、フィリップ・ワッツによって設計されたもので、エルジック造船所で2隻が建造されています。設計の基本は、アルゼンチン海軍向けに造られた「ブエノス・アイレス」を改良したもので、1隻にかかる費用は328,242ポンドでした。建造中に日清戦争が勃発し、艦の戦力化は間に合わなかったものの、清国海軍の戦力を支える艦として中華民国に引き継がれました。

艦形

この艦級の船体は、乾舷の高い平甲板型が特徴です。艦首には衝角が設けられ、水面下に位置しています。艦首部分にはアームストロング製の20.3cm速射砲が防盾付きの単装砲架で1基配置されており、その後方には上部構造物が続きます。前部の探照灯台を基にしたミリタリー・マストが立ち、前後のマストには見張り所が設けられています。また、艦中央部には2本の煙突があり、その周囲には艦載艇置き場が設けられています。総じて、6基のボートダビッドを利用して艦載艇を運用していました。

後部甲板には、後向きに配置された主砲や、副砲の12cm速射砲など、合計で20.3cm砲や12cm砲、4.7cm砲が均等に装備されています。この配置により、艦はそれぞれ方向に最大限の火力を発揮できるように設計されています。

武装

主砲

海天級は、アームストロング製の1893年型20.3cmライフル砲を主砲として採用しています。この砲は重量116kgの弾丸を使用し、最大で18,000mの距離まで届く能力を持っています。前後に配置された砲は、俯仰が30度、旋回が左右150度の範囲で可能ですが、装填や揚弾には人力が必要です。発射速度は1分間に2発でした。

その他の備砲

副砲には1884年型12cm速射砲が採用され、片舷に5基ずつ計10基が配置されています。この副砲も人力による操作が必要で、発射速度は1分間に5〜6発です。また、防御用にはオチキス製の4.7cm速射砲が搭載され、対水雷艇の迎撃に特化しています。加えて、対艦攻撃用に魚雷発射管が5基装備されています。

1920年には「海圻」のみが対空火器としてマキシム製の3.7cm機関砲を搭載しました。

防御

海天級は防護巡洋艦であるため、舷側部に装甲板は設けられていません。その代わりに石炭庫が配備されており、敵弾を石炭で弾く防御構造になっています。また、主甲板はハーヴェイ鋼で覆われ、甲板の傾斜部分には127mmの装甲が張られています。

同型艦

• - 海天 (Hai Tien): 1896年11月11日に起工し、1897年11月25日に進水。1904年に座礁沈没。
• - 海圻 (Hai Chi): 同日程で起工し、1898年に竣工。1937年に日本海軍の空襲で撃沈されましたが、後に浮揚されて解体されました。

関連項目

• - 清国海軍艦艇一覧

海天級防護巡洋艦は、清国海軍の艦隊を支えるために設計された艦であり、当時の海軍戦略において重要な艦級でした。

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