海神社 (神戸市)

海神社の概要

海神社（わたつみじんじゃ）は、兵庫県神戸市垂水区宮本町に位置する神社です。かつては「綿津見神社」とも表記され、「かいじんじゃ」とも呼ばれていました。古くは、あまじんじゃ、たるみじんじゃ、日向大明神、衣財田大明神とも称されていたそうです。この神社の名称である「ワタツミ」という読み方は、本居宣長の説に基づいて明治4年（1871年）に採用されたもので、『播磨国官幣中社海神社史』によれば、本来は「アマ」または「タルミ」と読むべきとされています。この「タルミ」という読みは、祭神の本来の名が垂水神であったことに由来し、「アマ」という読みは、当社が海直（あまのあたい）という氏族の神であったことに由来します。

祭神

海神社では、以下の三柱の神を主祭神として祀っています。

上津綿津見神（うわつわたつみのかみ）：海上の安全、航海の神として信仰されています。
中津綿津見神（なかつわたつみのかみ）：海中の魚、漁業の神として崇められています。
底津綿津見神（そこつわたつみのかみ）：海底の海藻、塩の神として祀られています。

これらの神々に加えて、大日孁貴尊（おおひるめむちのみこと）も配祀されています。

歴史

社伝によると、神功皇后が三韓征伐からの帰路、この地の海上で暴風雨に遭遇した際、綿津見三神を祀ったところ、暴風雨が治まったため、この地に社殿を建立したのが始まりとされています。この伝承は、『日本書紀』に記されている広田神社、生田神社、長田神社、住吉大社の創建譚と類似していますが、『日本書紀』には海神社に関する記述はありません。

文献に現れる最も古い記録としては、大同元年（806年）の『新抄格勅符抄』に、播磨明石垂水神に神封戸10戸が寄進されたという記述があります。当時、この地は海上交通の要所であったため、海上の安全を守る神として古くから崇敬されてきました。『延喜式神名帳』には「播磨国明石郡 海神社三座」として記載されており、名神大社に列せられています。

中世以降、戦乱などで社勢が衰退しましたが、天正11年（1587年）には豊臣秀吉が祈祷料として垂水郷の山林を寄進しました。江戸時代には、歴代の明石藩主が篤く崇敬し、毎年2月に参拝するのを恒例としていました。江戸時代の初め頃から「日向大明神」と呼ばれていましたが、明治4年（1871年）に国幣中社に列格した際に「海神社」と改称し、明治30年（1897年）には官幣中社に昇格しました。

高度成長期以前は、大鳥居の周辺は砂浜であり、文字通り「海の神社」でしたが、1960年以降の埋め立てにより、大鳥居の前面は道路や漁港に変わりました。

祭祀

海神社では、毎年1月10日前後の3日間、西宮神社と同様に、えびす祭が開催されます。えびすもまた海の神として信仰されているため、多くの人々が参拝に訪れます。

その他の情報

平成18年（2006年）までは、毎年7月に行われる夏祭りで奉納花火大会が開催されていましたが、翌年以降は花火大会は中止されています。この背景には、平成13年（2001年）に発生した明石[[花火大会歩道橋事故]]の影響があると考えられています。

関連情報

所在地: 兵庫県神戸市垂水区宮本町
旧社格: 官幣中社
現在の社格: 神社本庁の別表神社
播磨三大社: 伊和神社、粒坐天照神社とともに数えられる

関連図書

安津素彦・梅田義彦編集兼監修者『神道辞典』神社新報社、1968年
白井永二・土岐昌訓編集『神社辞典』東京堂出版、1979年

関連項目

垂水区
垂水駅
マリンピア神戸・三井アウトレットパーク マリンピア神戸
プリコ垂水
下畑海神社（元宮）

外部リンク

海神社（神社公式）
海神社（兵庫県神社庁）
* 海神社三座（國學院大學21世紀COEプログラム「神道・神社史料集成」）

もう一度検索