海鷹 (空母)

海鷹（かいよう）について

海鷹（かいよう）は、大日本帝国海軍の航空母艦として、その存在感を誇示した艦船です。この艦は、大阪商船の貨客船「あるぜんちな丸」を日本海軍が徴用し、最終的に軽空母に改造された経緯を持ちます。

概要

海鷹の前身である「あるぜんちな丸」は、1938年に三菱重工業で起工され、1939年に竣工した優秀な貨客船でした。特に南米航路に多くの運航実績があり、戦時には日本海軍に徴傭されました。1941年9月には日本海軍に徴用され、太平洋戦争が開戦すると、「あるぜんちな丸」は特設運送艦として運営されるようになりました。

1942年にはミッドウェー海戦で日本海軍が主力空母を喪失した影響を受けて、海軍は「あるぜんちな丸」を空母として改造する決定を下しました。1943年11月に改造が完了し、海鷹として新たな名前と軍艦としての地位を与えられました。これにより、海鷹は日本海軍の航空母艦として新たな役割を担うこととなりました。

特徴

海鷹は、全長約166.55メートル、幅21.90メートル、排水量は基準で13,600トンというスペックを持っています。航空母艦としての性能は高いとは言えず、大鷹型の中でも小型で低速なため、運用できる航空機の数も制限されました。最大で搭載可能な航空機は24機でしたが、実戦では輸送任務や護衛任務に使用されることが多かったです。

自衛のための武装も施されており、12.7cmの連装砲や25mm三連装機銃などが装備されました。時代背景から見ても、海鷹は多くの艦載機とともに大規模な戦闘に参加することが難しい艦船でした。

歴史

海鷹は、特設運送艦としての任務に従事していたが、航空機の不足により複数の運送艦が空母に改造される中でその役割を見出されました。特に、南西方面の航空機の輸送に力を注いでおり、シンガポールやマニラへの輸送任務を多くこなしました。しかし、大鷹型空母はそのサイズの制限から、戦闘機などのフル運用には適しておらず、実際には主に護衛任務に駆り出されました。

1945年には、連合軍の圧力が高まる中、海鷹は特攻兵器の訓練標的艦として使われるようになりました。3月には呉軍港空襲を受け軽微な損傷を負い、その後も訓練艦としての役割を果たし続けました。7月には触雷して航行不能となり、最終的には大分県の日出町に擱座しました。

終焉

終戦を迎えた後、海鷹は放棄され、日鮮サルベージによって解体される運命をたどりました。海鷹の艦歴は、戦争の現実とともに日本海軍の艦船の姿を象徴する重要な部分を占めています。彼女の艦歴とその役割は、当時の海軍とその戦略を理解する上で欠かせない要素であると言えるでしょう。

まとめ

海鷹は、太平洋戦争の戦局において日本海軍が直面していた数々の課題を象徴する艦船です。航空母艦としての運用は限定的だったものの、多くの護衛任務と航空機の輸送に努めました。その運命は、戦局の変化と共に波乱に満ちたものであり、日本の海軍史における特異な存在であり続けています。

もう一度検索