淡水線 (台湾鉄路管理局)

台湾の古き鉄路、淡水線の歴史

淡水線は、かつて台湾に存在した鉄道路線です。北淡線とも呼ばれ、台北駅を起点として北西へ、基隆河を渡り、関渡平原の西端で再び北へ進み、淡水河の右岸にある淡水駅を結んでいました。また、北投駅から分岐して新北投支線も存在していました。

開業から廃止まで

1895年、日本による台湾統治が始まった当初、淡水港は主要な港湾としての役割を担っていました。台北との間は水運が中心でしたが、台湾総督府は物流の迅速化のため、清代に建設された鉄道を整備し、淡水線の建設に着手しました。

1901年8月25日、淡水線が開業し、台北停車場を含む8駅で営業を開始しました。その後、1903年には大稲埕駅が淡水線の起点となりました。1915年には5つの新駅が開業しましたが、大稲埕駅は廃止され、起点は北門駅に変更されました。1923年には、実質的に台北駅を起点としていた運行形態を正式に認め、北門駅を廃止、台北駅が名実ともに淡水線の起点駅となりました。

その後、淡水河の土砂堆積が進み大型船舶の航行が困難となり、基隆港が整備されるにつれて淡水港の重要性は失われていきました。貨物輸送が低迷する中、北投温泉への湯治客の輸送需要が高まり、1916年には新北投線が開業しました。これにより、旅客輸送を中心に経営が続けられました。

戦後には、日本式の駅名であった「大正街」と「宮ノ下」の駅名が変更され、同時にこの2駅は廃止、新たに「王家廟」と「忠義」の2駅が新設され、11駅体制で営業が続けられました。しかし、自動車輸送の発達により旅客輸送は衰退し、1966年に北投-関渡間に6車線の快速道路（現在の大度路）が完成すると、その衰退はさらに顕著になりました。

1970年代初頭には「台北都会区大衆捷運系統計画」が提出され、淡水線の地下鉄化が提唱されました。数回の修正を経て、1986年に行政院が計画を承認し、淡水線は廃止されることが決定しました。

1988年7月15日、淡水線は最終営業日を迎え、23時20分に台北発淡水行きの最終列車が台北駅6番ホームを出発し、通常営業を終了しました。翌日の廃線イベントで特別列車が運行され、87年の歴史に幕を下ろしました。その後、線路や駅舎は撤去され、地下鉄の建設が進められました。1997年には台北捷運淡水線が開業し、かつての淡水線の役割を継承する形で運行されています。

淡水線の駅一覧

淡水線の駅は、時代によって変遷しました。以下にその変遷を示します。

台湾総督府交通局鉄道部時代
台北停車場
大稲埕駅（後に廃止）
北門駅（後に廃止）
圓山駅
剣潭駅
士林駅
北投駅
淡水駅
大正街駅（後に廃止）
宮ノ下駅（後に廃止）

台湾鉄路管理局時代
台北駅
圓山駅
剣潭駅
士林駅
石牌駅
北投駅
王家廟駅
忠義駅
関渡駅
竹圍駅
淡水駅

淡水線の遺産

淡水線は廃止されましたが、その歴史は台北捷運淡水線に引き継がれています。かつての線路跡や駅舎の一部は、現在もその面影を残しています。淡水線は、台湾の鉄道史において重要な役割を果たした路線であり、その歴史はこれからも語り継がれていくでしょう。

脚注

[1] 台湾の鉄道史に関する文献参照。

関連項目

台湾の鉄道
* 台湾鉄路管理局

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