淮安区

淮安区は、中国江蘇[[省]]淮安市に位置する市轄区であり、古くから河川行政、水運行政、そして製塩行政の中心地として重要な役割を果たしてきました。特に、大運河の要衝として、揚州、蘇州、杭州と並び称される四大都市の一つとして栄え、その歴史的、文化的価値から1986年には国家歴史文化名城の称号を得ています。

歴史

淮安区の歴史は古く、清代には淮安府、中華民国以降は淮安県と呼ばれていました。2000年に淮陰市が淮安市に改名されるまで、この地域は県級市である淮安市でした。古代には呉、越、楚などの諸国がこの地を争奪し、秦代には淮陰県の管轄下となりました。その後、漢武帝の時代に射陽県が置かれ、東晋時代には祖逖が現在の淮安区の場所に城郭都市を築き、山陽県治を置きました。

隋代に大運河が開削されると、山陽県城は物流の要衝として発展しました。唐、五代十国、北宋時代にかけて楚州と呼ばれ、水上交通を司る江淮転運使が置かれました。しかし、金が宋に攻め入った際には戦火に見舞われ、一時的に荒廃しました。

元代には大運河が復興し、転運使に代わって総管府が置かれました。明、清代には水運が再び活発になり、街は繁栄を取り戻しました。特に明代以降、海禁政策により国内物流は海運から運河輸送へとシフトし、この地域は運送と商業で大いに栄えました。淮安府には、河川や運河の管理と警備を行う漕運総督が置かれ、行政の中心としての地位を確立しました。

淮安区の街並みは、この時期に現在の形が形成されました。祖逖が築いた1600m四方の古い城郭都市は「老城」と呼ばれ、北宋時代にはその北1000mの場所に1000m四方の新たな城郭都市「新城」が建設されました。明代には、倭寇の侵入を防ぐため、二つの城郭都市を繋ぐように700mの城壁が建設され、その中の町は「連城」と呼ばれるようになりました。こうして、「老城」「連城」「新城」の三つの城郭都市が連なる独特の街並みが形成されました。漕運総督は老城の中央に総督衙門を構え、新城の西門外には塩の集積・検査を行う「綱塩」が置かれました。淮安府から各地に送られる塩は「淮塩」として知られ、繁栄の絶頂期には、城内外で活気に溢れていました。大運河沿いの河下鎮、板閘鎮、清江浦鎮も淮安府と一体化した都市圏を形成しました。

しかし、清末期に海禁が解かれ、海運が復活すると、大運河を利用した物流は衰退し、淮安府も徐々にその勢いを失いました。中華民国政府は淮安府を廃止し、山陽県を置きましたが、同名の県が陝西省にも存在したため、1914年に淮安県と改名しました。清代中期以降は清江浦鎮が発展し、中華人民共和国建国後は淮安県は清江浦を中心とする淮陰専区に属するようになりました。1983年に淮陰地区が淮陰市となり、1987年には淮安県が淮安市（県級市）に昇格しました。2000年には淮陰市が淮安市と改名し、その下の県級市・淮安市は楚州区となりました。2012年1月31日に現在の淮安区となりました。

地理と経済

淮安区は淮河下流の平坦な土地に位置し、黄淮沖積平野と里下河沿いの盆地が広がっています。京杭大運河と京滬高速公路が区内を南北に貫き、新長鉄路と蘇北灌漑総渠が東西に走っています。現在、淮安市の中心は、かつての淮安府であった淮安区ではなく、清江浦区に置かれています。

淮安区には、漕運総督衙門、鎮淮楼、淮安府衙署、勺湖園、文通塔、青蓮崗文化遺跡などの古跡が数多く残されています。また、周恩来の旧居や記念館、韓信ゆかりの韓侯祠、呉承恩の旧居と墓など、この地出身の歴史的人物のゆかりの地も多く存在します。

経済面では、機械、電子、紡織、化学工業、食品などの工業が盛んです。農業では、水稲、コムギ、綿花、油菜などが主要な作物です。特産品には、茶饊、蒲菜、平橋豆腐、文楼湯包、震豊楼餛飩、欽工肉円、長魚などがあり、淮揚菜（江蘇料理）の主要な発祥地の一つとして知られています。

行政区画

淮安区は以下の街道と鎮に区分されています。

街道: 淮城街道、河下街道、山陽街道
鎮: 平橋鎮、朱橋鎮、施河鎮、車橋鎮、流均鎮、博里鎮、復興鎮、蘇嘴鎮、欽工鎮、順河鎮、漕運鎮、石塘鎮

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