淮安府

淮安府の歴史

淮安府（わいあんふ）は、中国にかつて存在した府で、現在の江蘇省淮安市一帯に位置していました。その歴史は、南宋時代に遡り、元、明、清を経て中華民国初期まで続きました。この地域は、行政区画の変更を繰り返しながら、重要な役割を担ってきました。

南宋時代

1234年（端平元年）、南宋は楚州を淮安州と改称しました。この淮安州は淮南東路に属し、山陽・淮陰・塩城・宝応の4県を管轄していました。この時点では、まだ「府」ではなく「州」という行政単位でした。

元時代

1277年（至元14年）、元朝は淮安州を淮安路に昇格させました。淮安路は河南江北等処行中書省に属し、録事司という役所と、山陽・清河・塩城・桃源の4県、そして海寧州に属する朐山・沭陽・贛楡の3県、さらに泗州に属する臨淮・虹・盱眙・天長・五河の5県、安東州と、合わせて3州12県を管轄する広大な地域となりました。この昇格は、淮安地域が元朝にとって重要な拠点となったことを示しています。

明時代

1366年、朱元璋は淮安路を淮安府と改めました。この時に「府」という行政単位となりました。明代の淮安府は南直隷に属し、直轄の山陽・清河・塩城・安東・桃源・沭陽の6県、そして海州に属する贛楡県、邳州に属する宿遷・睢寧の2県、合わせて2州9県を管轄しました。

清時代

清朝に入ると、1724年（雍正2年）に淮安府の属州であった海州と邳州が直隷州に昇格しました。さらに1733年（雍正11年）には、邳州が徐州府に移管されました。この結果、淮安府は江蘇省に属し、山陽・清河・阜寧・塩城・安東・桃源の6県を管轄するようになりました。この時期に阜寧県が加わり、管轄県は変化しました。

中華民国時代

1913年、中華民国が成立すると、淮安府は廃止されました。これにより、長きに渡る淮安府の歴史は幕を閉じました。

まとめ

淮安府は、南宋時代に淮安州として始まり、元時代に淮安路へと昇格、明時代に淮安府となり、清時代を経て、中華民国時代に廃止されるという、複雑な変遷をたどりました。その管轄地域は時代ごとに変化し、その行政範囲は広大であり、地域における重要な拠点であったことが伺えます。この地域は、歴史を通じて重要な役割を果たし、現代の江蘇省淮安市の基礎となっています。

もう一度検索