深川雅文

深川雅文：日本のキュレーター、現代美術とデザインの架け橋

深川雅文氏は1958年、佐賀県佐賀市に生まれました。九州大学文学部哲学科を卒業後、同大学大学院に進学し、1986年に博士後期課程を修了。その後、1988年から2017年までの約30年間、川崎市市民ミュージアムに学芸員として勤務しました。この間、現代美術、デザイン、写真など幅広い分野を網羅する、数々の注目すべき企画展を手掛けてきました。

多彩な企画展：視点と革新

深川氏のキュレーターとしてのキャリアは、多様な視点と革新的な企画で彩られています。川崎市市民ミュージアム時代には、デザイン、写真、現代美術をテーマとした多くの展覧会を企画・開催しました。代表的なものとしては、バウハウスの芸術教育に焦点を当てた「バウハウス　芸術教育の革命と実験」、現代写真の動向を探る「現代写真の動向」、そしてドイツの写真家ベッヒャー夫妻の作品に焦点を当てた「遠・近　ベッヒャーの地平」などがあります。これらの展示会は、それぞれ時代の先端を行く表現や思想を提示し、高い評価を得ました。

さらに、日本のデザインを紹介する「Japanese Design Today 100」や、日本の伝統と現代デザインの調和を探った「WA 現代日本のデザインと調和の精神」といった企画展も手がけています。日本のデザインの国際的な認知度向上にも貢献したと言えるでしょう。また、現代美術家の折元立身氏の作品に焦点を当てた「生きるアート 折元立身」では、現代美術の新しい可能性を示唆しました。

2017年以降も、深川氏の活動は活発です。近年では、「きたれ、バウハウス」展を新潟市美術館、西宮市大谷記念美術館、高松市美術館、静岡県立美術館、東京ステーションギャラリーと、複数の美術館で巡回開催するなど、その活動は全国規模に広がっています。

著作活動：深化する視座

深川氏は、キュレーターとしての活動に加え、著作活動も精力的に行っています。写真とモダニズムの関係性を考察した『光のプロジェクト 写真、モダニズムを超えて』(青弓社)では、写真史における重要な視点を提示しました。また、2024年には、『生きるアート折元立身 生きとし生けるものとのコミュニケーションをアートにした男』(美術出版社)を刊行予定です。これは、現代美術家折元立身氏の作品と人生を深く掘り下げたもので、深川氏のキュレーターとしての経験と洞察が凝縮された一冊となるでしょう。

まとめ：未来へ繋がる貢献

深川雅文氏は、長年にわたるキュレーターとしての活動を通して、現代美術、デザイン、写真の分野に多大な貢献をしてきました。氏の企画展は、常に時代の最先端を捉え、来場者に新たな視点と感動を与え続けています。そして、著作を通して、その知見を広く社会に共有し、美術文化の発展に寄与しています。今後も、深川氏の活動から目が離せません。

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