清原滝雄

清原滝雄（きよはら の たきお）は、平安時代初期から前期にかけて活躍した貴族です。右大臣を務めた清原夏野の次男として生まれました。彼の生涯は、武官としてのキャリアから始まり、後に文官として重要な役職を歴任しました。

武官としての初期

滝雄は、淳和天皇の治世である天長3年（826年）に右兵衛少尉に任官し、官界でのキャリアをスタートさせました。その後、右衛門大尉、左衛門大尉と武官としての役職を歴任しました。これらの役職は、当時の朝廷における軍事的な役割を担うものであり、滝雄が武官として一定の経験を積んでいたことを示しています。

貴族としての昇進

天長7年（830年）には、父である夏野が新たに造営した双岡山荘に淳和天皇が行幸しました。この際、滝雄は従五位下に叙爵され、貴族としての地位を確立します。翌天長8年（831年）には、侍従、次いで雅楽頭に任ぜられ、朝廷内での活動範囲を広げていきました。

蔵人頭としての活躍

仁明天皇の時代である承和元年（834年）には、嵯峨上皇が双岡山荘に行幸した際、父夏野の息子たちが昇進し、滝雄は従五位下から従四位下へと異例の四階級の加叙を受けました。さらに同年7月には、参議に昇進した藤原良房の後任として、蔵人頭という重要な役職に任ぜられました。蔵人頭は天皇の側近として、機密事項を扱う重要な役職であり、滝雄が朝廷内で高い信任を得ていたことがうかがえます。

父の死と悲嘆

承和4年（837年）10月には、父である夏野が亡くなり、滝雄は喪に服しました。この時、滝雄は父の死を深く悲しみ、痩せ衰えてしまったと伝えられています。この悲しみは非常に深く、一時的に官を辞任するほどでした。しかし、その後、官界に復帰しています。

文官としてのキャリア

嘉祥3年（850年）に文徳天皇が即位すると、滝雄は従四位上に昇叙され、治部大輔に任ぜられました。仁寿4年（854年）には安芸守として地方官に転じますが、文徳天皇の治世末期である天安2年（858年）には中務大輔として京官に復帰しました。中務大輔は、朝廷の儀式や記録、文書の管理を行う重要な役職であり、滝雄が文官としても高い能力を持っていたことが示唆されます。

死去と最終官位

貞観5年（863年）1月11日、滝雄は65歳で亡くなりました。最終的な官位は従四位上行中務大輔でした。彼の生涯は、武官としての経験から始まり、文官としても重要な役職を歴任した、多才な人物であったことを物語っています。

官歴

天長3年（826年）：右兵衛少尉
天長4年（827年）：右衛門大尉、正六位上、左衛門大尉
天長7年（830年）：従五位下
天長8年（831年）：侍従、雅楽頭、中務大輔
承和元年（834年）：従四位下、蔵人頭
承和4年（837年）：辞官（父服喪）、復本官
承和7年（840年）：美作守、解蔵人頭
嘉祥3年（850年）：従四位上、治部大輔
嘉祥4年（851年）：出居侍従
仁寿4年（854年）：安芸守
天安2年（858年）：中務大輔、装束司（文徳天皇崩御）
貞観2年（860年）：辞官（母服喪）、復本官
* 貞観5年（863年）：卒去（従四位上行中務大輔）


清原滝雄の生涯は、平安初期の貴族社会における官僚の典型的なキャリアパスを示すとともに、彼が武官から文官へと転身しながら、朝廷内で重要な役割を果たしたことを示しています。父の死を深く悲しむ人間味あふれる一面も持ち合わせていた人物でした。

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