清和村 (熊本県)

清和村（せいわそん）とは

熊本県上益城郡の東端に位置していた村で、2005年2月11日に矢部町、蘇陽町と合併して山都町となり消滅しました。熊本県内では珍しく「むら」ではなく「そん」と読む村でした。

地理

清和村は九州のほぼ中央部に位置し、南北に細長いピーナッツのような形をしていました。村の中央部には国道が走り、役場（現在の山都町役場清和総合支所）も置かれていました。北部の朝日地区は阿蘇外輪山の高原地帯、中央部はやや平坦で、南部は九州山地の険しい地形です。

地勢

北部（朝日地区）: 阿蘇外輪山の一部で、起伏が緩やかな高原地帯が広がります。
中央部（大川地区）: やや平坦ですが、北部と同様に起伏が見られます。村の中心部で、役場や商店街がありました。
南部（小峰・緑川地区）: 九州山地の険しい地形が続き、深い谷が刻まれています。県境には九州最南端のスキー場である五ヶ瀬ハイランドスキー場があります。

山・峠

清水峠: 阿蘇方面へ抜ける道。
天神峠: 九州自然歩道の一部。

川・湖沼

緑川: 一級河川。
笹原川
井無田の農業用ため池: キャンプ場としても利用されています。

近隣の都市

近隣20km圏内に人口5万人以上の都市はなく、多くの住民が熊本市やその周辺地域で医療や買い物をします。宮崎県の延岡市も比較的近いですが、県境を越えるため交流はあまり多くありません。

主な集落

朝日地区: 阿蘇外輪山の南側に広がる地域。
鶴底（つるそこ）: 神社があり、祭礼では大衆演劇が上演されていました。
川口（かわぐち）: 農協の支所がありました。
大矢（おおや）: 川口より上流にある開拓地。
原尻（はらじり / はるじる）
井無田（いむた）: 朝日小学校や天文台があります。
井無田原（いむたばら）: キャンプ場となっているため池があります。
長成（ながなり）
郷ノ原（ごうのはら / ごうのばる）: 旧蘇陽町と接し、交流が盛んです。
朝日西部地区: 朝日地区と大川地区に接し、旧矢部町に隣接する地域。
牛ヶ瀬（うしがせ）
仁田尾（にたお）: JAの関連施設があります。
大川地区: 国道が通り、村の中心部。
大平（おおひら）
大川（おおかわ）: 行政・商業の中心地で、郵便局や飲食店などがあります。
小峰地区: 大川地区の南に位置します。
小峰（おみね）
木原谷地区: 小峰地区の西側で、旧矢部町と接しています。
緑川地区: 村の南端で、山岳地帯です。五ヶ瀬ハイランドスキー場があります。

歴史

1889年4月1日: 町村制施行により、朝日村と小峰村が発足。
1948年4月1日: 小峰村が上益城郡に移行。
1956年7月1日: 朝日村と小峰村が合併し、清和村が発足。
2005年2月11日: 矢部町、蘇陽町と合併し、山都町となり消滅。

その他

西南戦争では、敗れた薩摩軍が当地を通り、日向（現在の宮崎県）へ逃れたという逸話が残っています。

気候

緑豊かな自然に恵まれ、夏は比較的過ごしやすい気候です。降水量が多く、山間部特有の気候です。冬は積雪があり、凍結による水道管の破裂も発生します。

自然

生物

昆虫: 蛍が多く見られ、蝶や蛾など多くの昆虫が生息しています。
小動物: カエルやタニシなどの水棲生物が見られます。
哺乳類: かつては猿がいましたが、現在はイノシシによる農作物被害が問題になっています。

天体

人口の多い都市が近くにないため、天体観測に適しています。井無田には清和高原天文台があり、多くの人が訪れます。

光害対策

2002年、清和村議会は、天体観測に適した星空を守るための条例を制定しました。この条例により、新規の照明設置には、光が上空に漏れないような設備が義務付けられました。

人口

3,000人前後で推移していますが、高齢化と少子化が進行しており、「限界集落」も大きな問題です。

産業

農業

高原の気候を生かした野菜栽培が盛んですが、小規模なものが多いです。近年は、高齢化や後継者不足により、離農や耕作放棄が目立ちます。

主な農産物: トマト、キャベツ、椎茸、栗など

林業

かつては盛んでしたが、国産材の価格低下により衰退気味です。

畜産業

赤牛の育成が行われていましたが、海外からの輸入自由化により、生産を辞める農家が増えました。養鶏は一部で行われています。

商業

国道沿いに小規模な商店街がありましたが、現在はJAが運営するスーパーが中心です。

文化

清和文楽: 人形芝居（浄瑠璃）が、専用の清和文楽館で上演されています。旧清和村が観光の目玉として育成してきました。

教育

少子化により、廃校が相次いでいます。旧清和村内の小中学校は、山都町立として再編されています。

現存する学校

山都町立清和中学校
山都町立清和小学校

廃校となった学校

清和村立朝日中学校
清和村立小峰中学校
清和村立緑川中学校
清和村立緑川中学校西緑川分校
清和村立高松小学校
清和村立朝日小学校
清和村立朝日西部小学校
清和村立小峰小学校
清和村立緑川小学校
清和村立緑川小学校西緑川分校
清和村立木原谷小学校

交通

鉄道

村内には鉄道が通っていません。最寄りの駅は、南阿蘇鉄道の阿蘇白川駅か見晴台駅です。

空港

最寄りの空港は熊本空港です。

道路

国道445号: 熊本市方面からの主要経路ですが、道幅が狭く曲がりくねっています。
国道218号: 熊本市方面からはやや遠回りですが、道幅は広いです。

バス

バスが唯一の公共交通手段ですが、近年、路線の縮小・廃止が行われています。

観光

道の駅清和文楽邑: 清和文楽館や物産館が併設されています。
緑仙峡: マス釣りが楽しめる渓流施設です。
青葉の瀬: キャンプなどアウトドアが楽しめます。
九州ハイランド: 阿蘇外輪山周辺の高原地帯です。
清和高原天文台: 見晴らしの良い高原にある天文台です。
緑川生涯学習館: 旧緑川小学校の施設を利用した交流施設です。
井無田原キャンプ場: 農業用ため池に隣接するキャンプ場です。
九州自然遊歩道: 清水峠から長谷峠、崩土峠、中坂峠、高森峠へと続く自然歩道です。
石橋: 旧村内にも点在しています。
滝: 小さな滝が点在しています。
ロンド美術館: 私設の美術館です。
朝日ギャラリー: 旧朝日小学校の校舎を利用した写真展示施設です。

テレビ番組

日経スペシャル ガイアの夜明け ふるさとは大丈夫か! 〜合併？ 生き残るために〜（2003年1月19日、テレビ東京）

脚注

関連項目

熊本県の廃止市町村一覧

外部リンク

矢部・清和・蘇陽合併協議会
矢部清和蘇陽合併協議会資料 (pdf)
清和文楽館
清和高原天文台
「清和村」（観光案内）
九州ハイランド
企画特集【火の国をゆく】清和村・清和文楽館（朝日新聞） - ウェイバックマシン（2011年8月18日アーカイブ分）
清和村ホームページ（2005/05/23アーカイブ） - 国立国会図書館Web Archiving Project

もう一度検索