緑川

緑川：熊本県を潤す一級河川

緑川は、熊本県中部を流れる一級河川であり、その源を宮崎県境の向坂山と小川岳の西麓に発します。そこから西へと流れ、緑川ダムを経て、甲佐町で北西に、嘉島町南部で熊本平野に出て再び西へと向きを変え、宇土半島の北側基部から有明海へと注ぎ込みます。

地理と地形

緑川の源流部は、九州地方では珍しく降雪量の多い地域です。その地形は非常に険しく、深くえぐられた谷が特徴的です。水源から美里町あたりまでは、特に谷が深く、多くの滝が見られます。山都町には「矢部四十八滝」と呼ばれるほど滝が多く存在します。

この深い谷のために架橋数は少なく、台地から谷を越える橋は内大臣橋と鮎の瀬大橋のみです。橋から離れた集落では、谷を渡るために大きく迂回する必要があるなど、独特な地形が人々の生活に影響を与えています。

語源

古文献によると、緑川の名前は「紺碧の水面が美しい川」という、清らかな水の流れのイメージから名付けられたとされています。

植生

緑川の源流部は、地形の険しさから伐採があまり行われず、広葉樹林がわずかに残っています。秋には美しい紅葉が見られ、冬には樹氷が観測できるなど、季節ごとの自然の変化も楽しめます。

流域の自治体

緑川は以下の自治体を流れます。

熊本県
上益城郡山都町
下益城郡美里町
上益城郡甲佐町
御船町
嘉島町
熊本市（南区）
宇土市

支流

緑川には、以下のような支流があります。

御船川
八勢川
加勢川：江津湖を介して緑川と並行して流れ、一部に三日月湖状の旧河道が残っています。
浜戸川
天明新川
笹原川：阿蘇南外輪山を水源とし、鵜の子の滝群や甌穴が発達しています。
五老ヶ滝川：阿蘇南外輪山を水源とし、浜町市街を流れ、通潤橋の下を流れます。
千滝川：阿蘇南外輪山を水源とし、浜町市街を流れ千滝に注ぎます。

並行する交通

鉄道

かつては緑川中流域に熊延鉄道が並行していましたが、1964年に廃止されました。

道路

緑川に沿って以下の道路が通っています。

国道218号
国道443号
熊本県道50号熊本嘉島線
熊本県道153号清和砥用線
熊本県道220号三本松甲佐線
熊本県道242号走潟廻江線

主要な橋梁

緑川には、多くの橋が架かっています。以下はその一部です。

霊台橋：江戸時代に架けられた石橋で、国の重要文化財です。
明神橋：熊本県道321号囲砥用線の橋です。
日和瀬橋：国道443号の橋です。
甲佐大橋
乙女橋：熊本県道38号宇土甲佐線の橋です。
緑川橋：九州自動車道の橋です。
蓍町橋：国道266号の橋です。
釈迦堂橋：熊本県道182号田迎木原線の橋です。
緑川橋：国道3号の橋です。
平木橋：国道501号の橋です。

周辺施設

緑川流域には、以下のような施設があります。

甲佐町立甲佐小学校
熊本県立甲佐高等学校
甲佐町立甲佐中学校
甲佐町立龍野小学校
イオンモール熊本
嘉島町立嘉島西小学校
熊本市立杉上小学校

流域の観光地

緑川流域には、豊かな自然や歴史を感じられる観光地が点在しています。

通潤橋：山都町にある重要文化財で、笹原川の支流に架かっています。
霊台橋：美里町にある重要文化財です。
鮎のやな場：甲佐町にあります。
石段の郷佐俣の湯：美里町にある温泉施設です。
九州自然遊歩道：山都町から高森町にかけての自然豊かな遊歩道です。
* 中無田閘門：熊本市南区にある水門です。

緑川は、その豊かな水と多様な自然環境が、人々の生活と密接に結びついている、熊本県にとって重要な河川です。

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