清水善夫

清水善夫

清水善夫（しみず よきお、1922年9月1日 - 2013年9月19日）は、日本の内科医・小児科医であり、医学博士の学位を持つ人物です。彼は新潟県西蒲原郡黒埼村（現在の新潟市西区）で生まれ、黒埼村の第19代村長、そして黒埼町初代町長を務めました。特に、原爆症患者第1号となった仲みどりの担当医であったことで知られています。

生涯

若き日と医学への道

清水善夫は、1922年に新潟県西蒲原郡黒埼村で誕生しました。新潟中学校、新潟高等学校を経て、1946年に東京帝国大学医学部医学科を卒業。戦後の混乱期において、医学の道を志しました。

医学研究と佐渡病院

1947年、東京大学医学部内科学教室内科学第二講座の副手に就任し、内科学の研究に携わりました。1952年には、東京大学から医学博士号を取得。同年、佐渡病院内科医長に就任し、地域医療に貢献しました。

地域医療への貢献と村長・町長としての活躍

1953年、故郷である黒埼村に清水医院を開業し、内科・小児科医として地域住民の健康を支えました。1969年には、黒埼村民の推薦により無投票で村長に就任。1973年には、黒埼村の町制施行に伴い、初代町長となりました。町長としては、地域社会の発展に尽力し、その功績は現在も語り継がれています。

町民歌「黒埼よいとこ」

1982年、黒埼町の町制施行10周年を記念して町民歌が制定される際、清水善夫が作詞した歌詞が採用されました。遠藤実が作曲し、渥美二郎が歌唱を担当した「黒埼よいとこ」は、地域住民に愛される歌として親しまれています。

原爆症患者第1号との出会い

1945年8月、東京帝国大学医学部4年生であった清水善夫は、学徒動員により東京帝国大学医学部附属医院第二外科に勤務していました。終戦直後の8月16日、広島で被爆した移動演劇隊「櫻隊」の女優、仲みどりが運び込まれました。清水は医局長に相談し、仲みどりの担当医となります。

仲みどりの治療と死

清水善夫は、仲みどりの治療に全力を尽くしましたが、彼女の容態は悪化の一途をたどりました。仲みどりは8月24日に亡くなり、病理解剖の結果、原子爆弾症と診断されました。これにより、仲みどりは医学的に認定された世界初の原爆症患者となりました。

その後

清水善夫は、仲みどりのカルテを詳細に記録し、その英訳と解剖記録、顕微鏡写真などをまとめた報告書を作成しました。これらの資料は、原爆症の研究において貴重な資料となっています。また、ドキュメンタリー映画『さくら隊散る』に出演し、証言者として当時の状況を語りました。その証言は、原爆の悲惨さを後世に伝える上で重要な役割を果たしています。

親族

叔父に日本画家の吉原芳仙がいます。

参考文献

『黒埼町史 通史編』黒埼町[編]、黒埼町、2000年
『櫻隊全滅』江津萩枝[著]、未來社、1980年
* 『さくら隊散る』新藤兼人[著]、未來社、1988年

清水善夫は、医師として、また地域社会のリーダーとして、多岐にわたる分野で貢献した人物です。彼の生涯は、医療の発展、地域社会の振興、そして平和への願いを象徴するものとして、今後も語り継がれていくでしょう。

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