清水沢駅

清水沢駅（しみずさわえき）

北海道夕張市に位置していた清水沢駅は、かつて日本の主要な石炭産地の一つであった夕張の交通網において重要な役割を担った鉄道駅です。日本国有鉄道（国鉄）の駅として開業し、後に国鉄分割民営化を経て北海道旅客鉄道（JR北海道）および日本貨物鉄道（JR貨物）の石勝線（夕張支線）、そして三菱石炭鉱業が運営していた大夕張鉄道線が乗り入れる結節点でした。しかし、夕張の基幹産業であった石炭産業の衰退とともにその役割は縮小し、2019年4月1日の石勝線夕張支線廃止に伴い、駅としての長い歴史に幕を下ろしました。

歴史と役割の変遷

清水沢駅の歴史は1897年（明治30年）に北海道炭礦鉄道の駅として始まりました。当初は石炭などの貨物輸送を主目的とした駅でしたが、1901年（明治34年）には旅客扱いも開始され、一般駅としての機能を備えるようになります。特に、大夕張炭鉱や南大夕張炭鉱といった大規模炭鉱からの石炭を運び出す三菱石炭鉱業大夕張鉄道線が開業し、1947年（昭和22年）に当駅へ乗り入れるようになると、清水沢駅は国鉄線と私鉄線が接続する共同使用駅として、石炭輸送の一大拠点へと発展しました。多数の貨物列車が行き交い、関連施設が立ち並ぶ活気あふれる駅として、地域の発展を支えました。

しかし、1970年代以降のエネルギー政策転換と炭鉱の相次ぐ閉山により、石炭輸送は徐々に縮小。1987年（昭和62年）には三菱石炭鉱業大夕張鉄道線も廃止され、清水沢駅は石勝線夕張支線の旅客駅としての機能が中心となりました。貨物列車の発着はなくなりましたが、JR貨物の駅としては名目上残存していました。

特徴的な設備と運営の変化

晩年の清水沢駅は、鉄道愛好家の間では希少となった設備が残る駅としても知られていました。特に、新夕張駅と当駅の間で使用されていたタブレット閉塞方式は、北海道内で最後まで残った物理的な閉塞方式でした。これと連動して、列車の進行方向を物理的に示す腕木式信号機も稼働していました。これらの古典的な設備は、2004年（平成16年）3月7日限りで廃止され、閉塞方式は特殊自動閉塞（軌道回路検知式）に変更されました。この変化により、運転取扱に必要な駅員の配置は不要となり、有人駅としての体制も変化しました。

かつては運転を取り扱う駅員が終日配置されていましたが、運転取扱廃止後は営業担当社員が平日・土曜の日中のみ配置される形となりました。窓口営業時間も限定されていましたが、乗車券販売などを行っていました。駅構内には自動券売機が設置されていた時期もあり、そこでは大夕張鉄道線の乗車券も購入できたといいます。しかし、利用者の減少などを背景に、2015年（平成27年）10月1日には無人駅となりました。

廃止とその後

夕張地域の過疎化と利用者の減少が進む中、JR北海道は石勝線夕張支線の廃止を決定しました。そして2019年（平成31年）4月1日、新夕張駅と夕張駅を結ぶ夕張支線全線が廃止され、清水沢駅もまたその歴史を終えました。駅としての役目を終えた後、長らく残されていた木造駅舎は、廃線から約3年半が経過した2022年（令和4年）11月に解体工事が開始されました。これは、石勝線夕張支線の沿線に残されていた駅舎としては初めての解体事例となりました。

駅構造

廃止直前の清水沢駅は、単式ホーム1面1線を有する地上駅でした。これは、かつての島式ホームの片面（旧2番のりば）のみを使用する形態でした。全盛期には、島式ホーム1面2線に加え、駅舎に面した0番のりば（大夕張鉄道線ホーム）や、北炭清水沢炭鉱へ向かう専用側線など、数多くの線路が広がる大規模な駅でした。ホームと駅舎はかつて跨線橋で結ばれていましたが、廃止時には既に撤去されていました。駅の周囲には、線路の向こう側へ渡るための歩道橋が存在しました。

駅名の由来と周辺環境

「清水沢」という駅名は、近くを流れる志幌加別川にかかる橋の付近に清水が湧き出ていた場所があり、それが「清水の沢」と呼ばれていたことに由来すると伝えられています。駅周辺は、かつては農業地帯でしたが、炭鉱開発とともに発展し、市街地が形成されました。特に、東部の旧大夕張地区への玄関口として、かつては賑わいを見せていました。駅周辺には、市役所の支所や警察の交番、郵便局、金融機関などの公共施設や生活関連施設が立地しており、廃止後も夕鉄バスの停留所が地域住民の交通手段として機能しています。

隣の駅

廃止時、JR石勝線（夕張支線）においては南清水沢駅と鹿ノ谷駅の間に位置していました。また、かつて接続していた三菱石炭鉱業大夕張鉄道線では、清水沢駅から遠幌駅方面へ線路が続いていました（途中に新清水沢駅が存在した時期を経て）延びていました。

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