清水町 (鹿児島市)

鹿児島市清水町の歴史と文化

鹿児島市清水町は、市の中心部に位置し、稲荷川が流れる自然豊かな地域です。その歴史は古く、平安時代には東福寺城が築かれ、戦国時代には港が整備されるなど、重要な拠点として発展してきました。この地は、かつて「清水馬場」と呼ばれ、清水が湧き出る場所として知られていました。現在では、住宅地として静かな生活が営まれていますが、多くの歴史的建造物や文化財が残されており、その歴史を今に伝えています。

地理と特徴

清水町は、鹿児島市の中央部に位置し、稲荷川の下流域に広がっています。町の北には稲荷町、南には春日町や浜町、東には吉野町や祇園之洲町、西には池之上町が隣接しています。町内には、鹿児島市立清水小学校や多賀山公園があり、公園内には東福寺城跡や多賀神社、東郷平八郎の銅像があります。また、国道10号が南北に走り、かつては鹿児島市電上町線も通っていました。

町名の由来

清水町の名前は、現在の鹿児島市立清水小学校の場所にあった大乗院の仁王堂付近から湧き出る綺麗な清水に由来します。この清水があった場所から仁王堂の通りを「清水馬場」と呼んだことが、町名の起源とされています。

歴史

東福寺城と市街地の形成:
平安時代に長谷場氏によって築かれた東福寺城は、戦国時代には麓の稲荷川河口に港が築かれるなど、地域の中心的な役割を果たしました。1343年頃には島津貞久が東福寺城を攻略し、四男の島津氏久が居城としました。この頃、稲荷川河口の港が発展し、鹿児島港の始まりとされています。また、島津氏が東福寺城を居城とした時期に、諏方神社（現在の南方神社）が現在の清水町に移座したとされています。

江戸時代:
江戸時代には、武家屋敷や寺社が立ち並ぶ地域でした。諏訪神社（現在の南方神社）や安養院、本立寺、仁王堂などが存在していました。また、田之浦と呼ばれる風光明媚な地域は鹿児島八景の一つに数えられました。祇園洲は、稲荷川の浚渫土砂で埋め立てられた土地で、七島船の係留場がありました。薩摩藩主島津斉興によって祇園洲台場に祇園洲砲台が築かれ、薩英戦争では激戦地となりました。

清水馬場町の成立:
明治時代初期に、清水馬場町が成立しました。この地域は士族が多く居住する武家町でした。西南戦争終結後には、祇園洲に官軍墓地が置かれ、多くの戦没者が埋葬されました。

市制施行以後:
1889年（明治22年）の市制施行により、鹿児島市の一部となり、清水馬場町は「清水町」に改称されました。その後、鶴嶺女学校（現在の鹿児島玉龍中学校・高等学校の前身）が移転したり、小学校が開校したりするなど、地域の教育文化の中心としても発展しました。第二次世界大戦中には、空襲により甚大な被害を受けましたが、戦後に復興しました。

文化財

清水町には、国の登録有形文化財として、旧重富島津家住宅米蔵、旧重富島津家別邸主屋、旧重富島津家別邸石塀などがあります。また、鹿児島市指定の文化財として、祇園之洲砲台跡や本立寺跡があります。

施設

町内には、鹿児島市消防局中央消防署上町分遣隊、上町福祉館、多賀山公園、祇園之洲公園などの公共施設があります。また、教育施設として鹿児島市立清水小学校や清水保育園があります。さらに、南方神社、八坂神社、多賀神社などの寺社も多く存在します。

交通

清水町の中央を国道10号が通っており、かつては鹿児島市電上町線も走っていました。しかし、1985年に上町線は全線廃止され、現在は最寄りの駅は鹿児島駅となっています。

出身著名人

清水町出身の著名人として、初代連合艦隊司令長官である伊東祐亨や、重富島津家の島津忠彦がいます。

近年の人口推移

1995年から2020年にかけて、清水町の人口は減少傾向にあります。2020年の国勢調査では、人口2,115人、世帯数956世帯となっています。

清水町は、歴史と文化が息づく魅力的な町です。史跡や寺社を巡り、この地の歴史に触れてみてはいかがでしょうか。

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