池之上町

鹿児島市池之上町：歴史と文化が薫る町

池之上町は、鹿児島市の中央部に位置する町で、旧薩摩国鹿児島郡鹿児島城下にありました。現在の郵便番号は892-0806で、2020年10月1日時点で1,107人の人口と537世帯が暮らしています。町内全域で住居表示が実施されています。

歴史

池之上町の歴史は、応永元年（1394年）に島津元久が島津氏の菩提寺として創建した曹洞宗の「玉竜山福昌寺」に深く根ざしています。福昌寺は江戸時代には広大な寺領を持ち、薩摩藩内はもちろん、遠くは北陸地方にまで多くの末寺を擁していました。しかし、明治初期の廃仏毀釈によって破壊され、廃寺となりました。現在、その跡地には鹿児島市立鹿児島玉龍中学校・高等学校が建てられています。また、福昌寺の墓所であった鹿児島島津家墓所は、国指定の史跡として保存されています。

地理

池之上町は、鹿児島市の中心部を流れる稲荷川の中流域に位置し、北は坂元町、東は皷川町、稲荷町、清水町、南は春日町、大竜町、西は上竜尾町に隣接しています。稲荷川が清水町との境界を流れ、家鴨馬場通りが大竜町との境界を通っています。町の北部には鹿児島市立鹿児島玉龍中学校・高等学校があり、その北には島津家墓地が広がっています。

町名の由来

町名の由来は、かつて町域内にあった福昌寺の前に池があり、その上方に町が広がっていたことに由来します。この地は、福昌寺の歴史と共に発展してきたことが伺えます。

近世の池之上町

江戸時代には、池之上町は鹿児島城下の北限に位置していました。福昌寺の周辺には武士の屋敷が広がり、福昌寺郷中や家鴨馬場郷中が形成されていました。福昌寺は薩摩藩で最も大きな寺院であり、1,500人以上の僧侶が居住し、1,361石の寺領を有していました。南林寺、妙谷寺、興国寺、隆盛院、梅岳寺など、多くの末寺がありました。薩摩藩の地誌である「三[[国名勝図会]]」にも、福昌寺に関する詳細な記述が残されています。

明治時代以降

明治時代初期には、池之上町は鹿児島府下に属し、士族が多く住む武家町でした。しかし、廃仏毀釈により福昌寺は廃寺となり、寺領は没収されました。廃寺後、長崎の浦上で捕らえられたキリスト教徒が収容され、そのうち58人が病死し、福昌寺墓地にキリシタン墓が作られました。1881年には戸長役場が設置され、1885年には鹿児島県授産会社が設立されましたが、1903年に解散しました。

1889年には鹿児島市が市制を施行し、池之上町は鹿児島市の一部となりました。1911年の台風や第二次世界大戦中の鹿児島大空襲では、町内で家屋浸水や空襲の被害を受けました。1951年には福昌寺跡に鹿児島市立玉龍高等学校が移転し、1967年と1968年には住居表示が実施され、町域の再編が行われました。

文化財と施設

池之上町には、国指定史跡である鹿児島島津家墓所があります。この墓所には、第十一代当主である島津吉貴以外の歴代藩主の墓が安置されています。また、町内には若宮公園、鹿児島池之上郵便局、若宮神社、深固院龍源寺などの施設があります。

著名な出身者

池之上町出身の著名人としては、洋画家の藤島武二が挙げられます。藤島武二は、黒田清輝が主任教授を務めていた東京美術学校西洋画科の助教授を務め、明治画壇の三峰の一人として知られています。また、北朝鮮による拉致被害者である増元るみ子もこの町出身です。

まとめ

池之上町は、歴史的な寺院の面影を残しつつ、現代的な生活が営まれる魅力的な町です。過去の歴史と文化が息づくこの町を訪れることで、鹿児島の歴史と文化に触れることができるでしょう。

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