清瀧寺 (土佐市)

清瀧寺は、高知県土佐市にある真言宗豊山派の寺院で、醫王山鏡池院と号します。四国八十八箇所霊場の第三十五番札所であり、本尊は薬師如来です。

歴史

寺伝によれば、養老7年（723年）に行基が薬師如来を刻み、寺を開創したとされています。当初は景山密院繹木寺と称していました。その後、空海（弘法大師）がこの地を訪れ、五穀豊穣を祈願して七日間の修法を行い、満願の日に金剛杖で壇を突くと清水が湧き出て池になったことから、醫王山鏡池院清瀧寺と改めたと伝えられています。

平城天皇の第三皇子である高岳親王は、薬子の変に連座し仏門に入り、真如と名乗って空海の弟子となりました。貞観3年（861年）には、この寺を訪れ逆修塔（生前墓）を建てました。寛文8年（1668年）には本堂が全焼する火災に見舞われましたが、その後再建されています。その際、火災防止のため金毘羅を勧請し、現在の琴平神社本殿は天保2年(1831年）に再建されたものです。

江戸時代には繁栄しましたが、明治4年（1871年）に廃寺となり、同13年（1880年）に再興されました。

境内

清滝山の中腹に位置し、参道は車道も通っていますが道幅が狭いため、車での参拝には注意が必要です。境内からは南側の眺望が優れています。

山門（仁王門）: 明治33年（1900年）に建てられたもので、久保南窓の筆による八方にらみの龍が描かれています。
本堂：本尊の薬師如来が祀られています。
大師堂：弘法大師を祀るお堂です。
仏像収蔵庫: 本堂裏の斜面に位置し、本尊の薬師如来立像、日光菩薩立像、月光菩薩立像、十二神将が安置されています。これらの仏像は、平成26年に一般公開されました。
護摩堂: 本堂と大師堂の間にあり、修行大師立像が祀られ、毎月旧暦20日の夜に護摩焚きが行われます。
地蔵堂: 大師堂の左手に位置し、地蔵石像が祀られています。
観音堂: 地蔵堂のさらに左にあり、観音立像を祀る位牌堂です。
瀧: 本堂の右斜面に流れており、現在は人工の滝です。
厄除け薬師如来像: 像高15mの巨大な薬師如来像で、台座の中に入って戒壇巡りをすると厄除けのご利益があるとされています。
子安地蔵祠: 石像を祀っています。
水子地蔵: 滝のそばに祀られています。
接待所: 大師像が祀られています。
鐘楼堂: 本坊エリアにあります。
高岳親王逆修塔: 入山禁止の山にあります。
琴平神社: 本殿祠は高知県保護有形文化財に指定されており、当寺の管理ではありません。
句碑: 芭蕉の句「清瀧や浪に散込む青松葉」などがあります。

文化財

清瀧寺には、多くの文化財が保存されています。

重要文化財: 木造薬師如来立像（平安時代後期、檜の一木造、彩色）。
史跡:土佐遍路道清瀧寺境内
県保護有形文化財: 線刻虚空蔵菩薩銅造鏡像、阿弥陀坐像の懸仏、薬師如来坐像の懸仏など。
県指定史跡: 高岳親王塔。
土佐市有形文化財: 楼門天井画（久保南窓による龍の絵）。

奥の院

清瀧寺の前から農道を約500m上ると、虚空蔵菩薩を祀る祠があります。この場所は、空海が修法を行った際に清水が湧き出た場所と伝えられ、鏡池院の院号の由来となっています。以前は参拝が可能でしたが、現在は台風被害のため立ち入りが危険な状態となっています。

交通案内

鉄道: JR土讃線 波川駅から約6.7km。
バス: とさでん交通・土佐市ドラゴンバス 高岡営業所行「高岡営業所」下車、約4km。
道路: 国道56号線 土佐IC入口から約2.5km、高知自動車道 土佐ICから約2.5km。

清瀧寺は、歴史と自然に囲まれた、四国遍路の重要な札所の一つです。豊かな自然と歴史を感じながら、静かに参拝できる場所です。

もう一度検索