清荒神清澄寺

清荒神清澄寺：歴史と信仰、そして芸術が息づく古刹

清荒神清澄寺は、兵庫県宝塚市に佇む真言三宝宗の大本山です。蓬莱山を仰ぎ、境内には本尊大日如来を祀る清澄寺と、広く知られる三宝荒神社が共存しています。神仏習合の形態が色濃く残るこの寺は、近隣住民からは「荒神さん」と親しみを込めて呼ばれ、深い信仰を集めています。

歴史：平安時代から現代へ繋がる信仰

清荒神清澄寺の創建は、寛平8年（896年）11月18日に遡ります。宇多天皇の勅願寺として、静観僧正によって旧清と呼ばれる山の尾根に建立されました。同時に、現在地である西の谷には鎮守神として三宝荒神社が創建されました。宇多天皇から「日本第一清荒神」の称号を賜った清澄寺は、最盛期には七堂七十二坊を有する壮大な伽藍を誇っていました。

平安時代末期の治承・寿永の乱や戦国時代の有岡城の戦いでは、清澄寺は幾度も戦火に見舞われましたが、三宝荒神社は奇跡的に被害を免れました。江戸時代の安政年間（1855年～1860年）には、清澄寺本堂が旧清から現在地に移築され、浄界和上によって再興、伽藍が整備されました。昭和22年（1947年）には「三宝三福」の教理に基づいて真言三宝宗が開宗、清荒神清澄寺はその総本山となりました。

文化：富岡鉄斎と鉄斎美術館

境内には、昭和50年（1975年）に開館した鉄斎美術館「聖光殿」があります。著名な画家、富岡鉄斎の作品を数多く収蔵・展示しており、芸術と信仰が調和した独特の空間を創り出しています。平成20年（2008年）11月には別館「史料館」が開館、平成30年（2018年）3月には博物館登録され、鉄斎美術館の重要な拠点となっています。

信仰：かまど神としての信仰と地域との繋がり

清荒神清澄寺では、かまど神の一種として信仰されており、お札を台所の神棚に祀る習慣が根付いています。門前には約200もの店舗が軒を連ね、活気ある門前市を形成しています。また、弁護士となった大平光代氏が更生へのきっかけとして清荒神清澄寺を訪れ、17年間毎日参拝したという逸話も有名です。

境内：多様な建造物と豊かな自然

清澄寺の境内には、本堂をはじめ、霊牌堂、練行堂、十三重石塔、龍王滝、一願地蔵尊、宝稲荷社、池苑など、数多くの建造物や自然が調和して存在しています。また、三宝荒神社の拝殿（天堂）、浴油堂、荒神影向の榊、眼神祠、龍王堂、経蔵、納札所、火箸納所、行者洞、宝蔵、眷属堂、鼓楼、鐘楼、講堂、庫裏、春光庵、百錬堂、山門、清邦文化会館など、多くの建物が信仰の深さを物語っています。

文化財：歴史を伝える貴重な遺産

清荒神清澄寺は、多くの文化財を有しています。重要文化財に指定されている木造大日如来坐像、絹本着色千手観音菩薩像、絹本着色釈迦三尊像（良全筆）など、歴史的価値の高い作品が数多く残されています。また、宝塚市指定有形文化財である富士山図（富岡鉄斎筆）や、宝塚市指定天然記念物である清荒神清澄寺自然林、イチョウ（2本）なども、寺の豊かな歴史と自然を象徴しています。

アクセス

阪急宝塚本線清荒神駅から徒歩20分です。年末年始や1月の土日祝日には、宝塚駅から臨時バスも運行されます。駐車場はありますが、年末年始や1月の土日祝日は交通規制が敷かれるため、注意が必要です。

清荒神清澄寺は、歴史と信仰、そして芸術が一体となった、訪れる人を魅了する特別な場所です。

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