渋谷莉孔

渋谷莉孔（しぶや りく）は、1985年4月4日生まれの日本の男性総合格闘家です。グレイシー・テクニクス・ホノルルに所属し、その独特なファイトスタイルと、数々の困難を乗り越えてきたドラマチックなキャリアで知られています。

プロデビュー前

渋谷選手は、2008年10月19日にリングス・前田日明がプロデュースするアマチュア総合格闘技大会「THE OUTSIDER 第3戦」で総合格闘家としてのキャリアをスタートさせました。この大会は、不良の更生を目的としたもので、渋谷選手は中村啓紀選手との対戦で、試合中に奇声を上げる独特なスタイルでKO勝利を収めました。この試合での渋谷選手の印象について、レフェリーを務めた平直行氏は「素質があるゆえに工芸品のように繊細な脆さがある」と評し、大会主催者の前田日明氏は「溶鉱炉のふちにあるダイヤモンドの原石」と例えました。

THE OUTSIDERでの活躍

2009年3月15日、「THE OUTSIDER SPECIAL in 両国国技館」に参戦した際、渋谷選手は勝っても負けても格闘技を辞めるつもりで試合に臨みました。試合には敗北したものの、リングを去ろうとした際に、対戦相手の内藤裕選手から「格闘技やめんなよ」という言葉を受け、その影響で同大会への継続参戦を決意しました。その後もTHE OUTSIDERで数々の試合を経験し、着実に力をつけていきました。

プロ転向とCAGE FORCE

2010年11月28日、「CAGE FORCE 20」でプロデビューを果たしました。金内裕哉選手との試合では、判定勝利を収め、プロとしての第一歩を踏み出しました。2013年4月21日には、「THE OUTSIDER 第25戦」で朝倉海選手に判定勝ちするなど、アマチュア時代からプロ転向後も順調にキャリアを重ねていきました。

パンクラスでの大金星

2014年9月13日、「TTF CHALLENGE 02」では、プロ3戦目にしてパンクラスのトップランカーである古賀靖隆選手を下すという大金星を挙げました。この勝利は、渋谷選手のプロとしての評価を大きく高めるものでした。

ONE Championshipへの挑戦

2015年3月13日、アジア最大規模の総合格闘技団体「ONE Championship」への初参戦で、いきなり世界フライ級タイトルマッチに抜擢され、王者アドリアーノ・モラエス選手に挑みました。しかし、判定負けを喫し、王座獲得はなりませんでした。同年10月9日には、ユージーン・トケーロ選手に判定勝利し、ONEでの初勝利を飾りました。

失明危機と復活

2016年1月23日、ロイ・ドリゲス選手に判定勝ちしたものの、試合中に反則のサミングを受け、後に目の異常を感じるようになりました。同年2月下旬、滞在先のハワイの病院で「今日中に失明する」と宣告され、緊急帰国。都内の病院で両目とも網膜剥離と診断され、手術を受けることとなりました。一時は両目ともほぼ見えない状態になり、自身のTwitterで引退を示唆しましたが、後に現役続行を表明。所属ジムのあるハワイで、復帰に向けたトレーニングを開始しました。この逆境を乗り越える姿は、多くのファンに感動を与えました。

復帰後の活躍

2017年8月18日、ジアーニ・スッバ選手との復帰戦では判定負けを喫しましたが、同年12月9日には、元ルンピニー・スタジアム認定3階級王者で初代ONE世界ストロー級王者のデェダムロン・ソー・アミュアイシルチョーク選手と対戦し、ギロチンチョークで一本勝ちを収めました。試合後のインタビューでは、視力が片目で0.2、もう片方の目で0.02程度まで回復していることを語りました。この復活劇は、渋谷選手の不屈の精神を象徴するものでした。

戦績

プロ総合格闘技の戦績は、詳細な記録は省略しますが、数々の強豪選手と対戦し、勝利を重ねてきました。アマチュア総合格闘技の戦績も同様に、多くの試合で経験を積んできました。

その他の活動

渋谷選手は、TwitterやYouTubeチャンネルを通じて、ファンとの交流も積極的に行っています。

まとめ

渋谷莉孔選手は、アマチュアからプロ、そして世界最高峰の舞台であるONE Championshipまで、様々な困難を乗り越えながら格闘技の道を歩んできました。その不屈の精神と、ドラマチックなキャリアは、多くの人々に勇気を与えています。

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